MotoGPマレーシアGPで開発中のV4マシンによるワイルドカード参戦を行なっているヤマハ。しかしマシンはエンジン出力を落としている状態になっているという。
第16戦サンマリノGP以来、2度目のV4マシン実戦テストとなったマレーシアGP。しかしテストライダーのアウグスト・フェルナンデスのタイムはFP1で22番手、プラクティスでは最下位に沈んだ。一方でヤマハ陣営として見ると、従来の直4マシンに乗るジャック・ミラー(プラマック)が好調3番手タイムで、フェルナンデスはミラー相手に2.1秒差という状態だった。
ただこの結果だけでV4マシンのポテンシャルを推測するのは難しいところもある。ヤマハが信頼性確保のため、V4エンジンの出力に制限をかけているためだ。しかしロングストレートを2本持つセパンでは、それがハンディキャップになってしまっている。
「マシンパワーという面では、難しくなるだろうと思っていた。このコースはパワーが必要だからね。僕としても難しくなるとは思っていた。ただこういった形ではなかった」
フェルナンデスはそう語る。
「そんなに悪い感触じゃないんだ。でもどのコーナーでも加速でかなり苦戦してしまう。最高速だけじゃなくて、(出力制限のせいで)加速も苦しんでいる」
「エンジンにパワーがないわけではないけれど、ヤマハは細心の注意を払っているんだ。僕としては皆が(ミラー達が)今回活躍しているのを見るのはちょっとキツイね」
「こっちのフィーリングのことに集中して、ラップタイムについてはちょっと忘れる必要がある」
「正直、もっとパワーがあって良いのにと思うよ。今でもエンジンフィールはスムーズだと思うけど、フルパワーで走ったときの挙動は一度確認する必要がある」
「作業を続けていく必要があるし、時間はあまりないことを理解しないといけない」
また、フェルナンデスは前回のサンマリノGPとはフィーリングが全く違っていると語った。
「ミサノとは全く違ったフィーリングだ。バルセロナやブルノで感じていたフィーリングにより近い」
「全く違うコースで、グリップも凄く良いからね。ミサノではタイヤの(グリップの)大きな落ちも無くて、予選のように毎回プッシュすることができた。でもここはタイヤの落ち込みが大きい。グリップも悲惨だ。つまりレイアウトが違うってことだ」
なおヤマハはマレーシアGPで、V4マシンにいくつかの新パーツも用意するなど、2026年のデビューに向けた準備を続けている。
ただ急速な変化がマシンの挙動に大きな影響を与えてしまってもいるようだ。
「バイクの動きが変わってしまった。どうしてこうした変更に対して、ここまで反応するのかが分からない」
「普通は、ある程度ベースが決まってきたら、セットアップを少し変更してもそれはミリメートル単位とかでやるものだ」
「でも今はセンチメートル単位でやっている。だから走りのペースを見つけようとするのも一苦労なんだ。2センチも動かしていたら、全く違うバイクになってしまう」
「だから辛抱強く作業を続けていく必要がある」

