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アニメ化されない伝説のギャグマンガ『トイレット博士』 ジャンプの「友情・努力・勝利」の原点らしいが本当か?

アニメ化されない伝説のギャグマンガ『トイレット博士』 ジャンプの「友情・努力・勝利」の原点らしいが本当か?


「トイレット博士 第1巻 黄色い天使の巻」kindle版(オフィス安井)

【画像】「やっぱり下ネタか(笑)」これが『トイレット博士』作者のその後の作品です(5枚)

主人公がコロコロ変わる? 7年間で変化した展開

「週刊少年ジャンプ」創刊2年目の1970年に連載開始し、77年まで長期連載したギャグマンガ『トイレット博士』(作・とりいかずよし)が、今年2025年で55周年を迎えました。単行本全30巻は、1984年「こちら葛飾区亀有公園前派出所」に抜かれるまで「ジャンプ」史上最長で、累計売上部数は1000万部を超えました。「ジャンプ」人気の礎を築いた作品のひとつです。

 当時は大人気でしたが、アニメ化されていないためか、若い層の間では認知度は低いと思います。アニメ化に至らなかった理由は、テレビ局側からの、タイトル変更の申し入れにうまく対応できなかったから(?)とされています。とはいえ、作品のテーマが「うんこ」で、下ネタ全開、しかも差別やパワハラなど、今でいうコンプライアンス違反のオンパレードでしたから、結局、難しかったかもしれません。

 下品極まりないギャグマンガ『トイレット博士』は、一方で「ジャンプ」のスローガンといわれる「友情・努力・勝利」を明確に打ち出し、定着させた作品だとされています。

『トイレット博士』は、7年間の連載で主人公や展開が何度も変わりました。大きく3部に分かれるとされています。

 第1部スタート時は、主人公「トイレット博士」が、仲間とともに人ぷんを研究し、健康状態の調査や新薬の発見などを目指すという話でした……と聞くとまともな感じですが、毎回、度を超えたバカバカしさとギャグが連発でした。登場キャラは、どこか人間くささがあって憎めず、感動させるシーンも多々ありました。このギャップが読者を引き付ける要素でもあったのです。

 うんこ研究のネタが疲弊してくると、今度は、うんこにまつわる日常ネタに人情ギャグを加える内容にシフトチェンジしました。これが第2部とされています。登場人物は徐々に移り変わり、いつの間にか「一朗太」という小学生を中心に、その友達や先生を巻き込んだドタバタお下品ネタで笑いを誘いました。


「トイレット博士 第30巻」(オフィス安井)

全国各地に「メタクソ団支部」結成の大ブーム

 人気が大爆発したのが、単行本第13巻からの「メタクソ団」です。「メタクソ団」とは、「スナミ先生」(この頃の実質的主人公)と、中学生になった「一朗太」、友達の「三日月」、「チン坊」、「ピッピ」の5人で活動するグループでした。

 団の活動目的は、よくわかりません。「山での合宿で、テントで寝ている女の子をのぞくために珍騒動」、「ポラロイドカメラで記念撮影するため、裸になってドタバタ劇」など、下品とおバカは相変わらずです。

 しかし、ポイントは話の後半です。妙に雰囲気がシリアスで熱血になり、立ちはだかる難題にチームは団結し、勇気を持って挑み、決断して実行に移す。そこには、「友情・努力・勝利」というテーマが見えました。読者は、ちょっとだけ「ジーン」としてしまう部分が癖になったのかもしれません(毎回そんな展開ではないですが)。これが第3部とされています。

 また、この人気には戦略がありました。1970年代の「ジャンプ」は、読者参加型の紙面作りを狙っていたことから、「メタクソ団」を活用しました。作中で何度も飛び出す合言葉「マタンキ」が全国の小学校で流行したため、「マタンキの巻」掲載の「ジャンプ」誌に「MK(マタンキ)バッジ」(正式名「メタクソバッジ」)を付録にして、その後は読者懸賞品にもしました。バッジは大人気となり、それを持つ子供は英雄になりました。ハンドメイドで作る子供もたくさんいて、ついには、全国各地に「メタクソ団支部」が結成されるムーブメントを起こしました。

『トイレット博士』は、1977年に連載を終えますが、その最後のページには、主要なキャラクターが勢ぞろいして、こう締めくくられています。「『友情・努力・勝利・団結』」のメタクソ魂(ガッツ)があれば、人生は素晴らしいと今も思います」。実は、チームには「団結」というワードも大切であると、とりい先生は唱えていました。

『トイレット博士』は、「ジャンプ」売上部数100万部の突破と、業界トップ達成に大きく貢献しました。博士がうんこ研究で得た最大の発明は、「友情・努力・勝利」の金言だったわけですね。

※本文の一部を修正しました。(2025.10.25 11:25)

配信元: マグミクス

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