最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
「でけぇ爪だよ、皮膚があんな裂け方するのは…」クマに背後から頭部を切り裂かれた72才釣り人が語る恐怖の瞬間

「でけぇ爪だよ、皮膚があんな裂け方するのは…」クマに背後から頭部を切り裂かれた72才釣り人が語る恐怖の瞬間

臆病なクマがあえて人に接近してきたワケは

「クマは人を襲うとき、必ず立ち上がる。それから前脚を振り下ろすんだ。犬みたいに走ってきてそのまま嚙みつくってことはしない。ぜってぇ立ってからやるんだよ」

そう語るのは、群馬県奥利根を中心に活動するベテランのクマ撃ち猟師・高柳盛芳さんだ。

クマは元来、臆病でおとなしい動物だ。通常、人には積極的に寄ってこず、出会い頭で驚いて襲ってくることが多いという。また、敵意を示す際に立ち上がる習性があり、正面対峙のパターンが多い。

だが金井さんのケースは、出会い頭でも正面でもなく、狙われるような食料も持っていなかった。

さらにクマは、聴覚がとても優れており、音に敏感だ。そのため「山に入るときはクマ鈴など音の鳴るものを身に着け、人が近くにいることをクマに教えること」といった教えもある。

でもあのときは、クマ鈴こそ持っていなかったものの、車のドアやトランクを開け閉めしていたうえ、ガサガサと荷物を取り出したりしていたのに、なぜ──。

「クマってのは、人が思うよりずっと利口で慎重だよ。簡単には姿を見せない。でも、いざってときは、ためらいなく来る。

もし森の中でクマに遭遇したら、すぐに動いちゃダメだ。クマと目を合わせ続けるんだ。すっげぇ怖いけど、絶対に目を離さないこと。そのうちにクマがチラッと目を逸らしたら、それがチャンス。ソイツは逃げ道を探してるってことだ。そしたら、そ~っと後ろに下がる。距離ができたら、クマの方から逃げて行くから」(高柳さん)

防ぎようがない背後からの不意打ち

しかし、今回のように背後から不意を突かれるケースでは、このような対処法を試す間もない。事実、金井さんはその姿を目撃すらできなかった。

「見てねぇんだよなぁ、本当に。後ろから一発やられて、終わりだ」という言葉に嘘偽りはないだろう。

クマが先に金井さんを視認していて、藪に身を隠していた可能性も考えられる。釣り道具を納めに車へ戻った瞬間を狙って、背後から奇襲したのか。

今回の襲撃パターンは、よくある出会い頭とは違い、まるで「狙っていた」かのようだった。クマが人間への警戒心を失い、あえて接近してくる背景には、餌不足や人里への慣れがあるとの指摘もある。

金井さんは、退院からわずか一週間後に再び竿を手にし、“いつもの釣り場”に足を運んだ。

「釣れなかったけどな。まぁ、それでも行くもんだよ」

野生動物との接触リスクが現実のものとなった今、自然との共生をどう実現するかは、地方の喫緊の課題である。人と自然、そして野生動物。その境界線は今、再び引き直されつつある。

文/風来堂

提供元

プロフィール画像

集英社オンライン

雑誌、漫画、書籍など数多くのエンタテインメントを生み出してきた集英社が、これまでに培った知的・人的アセットをフル活用して送るウェブニュースメディア。暮らしや心を豊かにする読みものや知的探求心に応えるアカデミックなコラムから、集英社の大ヒット作の舞台裏や最新ニュースなど、バラエティ豊かな記事を配信。

あなたにおすすめ