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「戦争体験者が少なくなってきているので」“復帰っ子”のガレッジセール川ちゃんが単身赴任で沖縄に帰った理由…エコノミークラス症候群で変わった人生観

「戦争体験者が少なくなってきているので」“復帰っ子”のガレッジセール川ちゃんが単身赴任で沖縄に帰った理由…エコノミークラス症候群で変わった人生観

沖縄出身のお笑いコンビと言えば、まず思いつくのはガレッジセールの二人ではないだろうか。ゴリ(照屋年之)と川ちゃん(川田広樹)は今年コンビ結成30年を迎える。かつて“じゃないほう芸人”と自虐しながらも笑いをとっていた川ちゃんは現在何をしているのか。(前後編の前編) 

沖縄で単身赴任、ガレッジセール川ちゃんの現在 

「沖縄へ帰って、1年4か月ぐらいですかね」

笑顔で現れたのはガレッジセールの川ちゃんこと、川田広樹。ゴルフ焼けのレベルでは到底なく、こんがりと焼けた肌と精悍な肉体はまるで漁師のようだ。

「やっぱり日差しが強いので、こうなっちゃいますね(笑)。家のすぐ近くに海があるので、よく行きますし。沖縄生活、もう最高です。大学2年生の長女が『20歳の成人式はパパがいちばんカッコいい状態で写真を撮りたい』っていうので、鍛えています。ジムは月に2回くらい、あとは自宅での筋トレです。来年1月までにベストな状態に持っていきます!」

現在52歳。誰もが顔と名前を知る人気芸人でありながら、故郷へのUターンを決めた理由を尋ねると、

「沖縄へ戻る1年くらい前に、ひとりで暮らす母親の身体が弱りまして。『もう、そろそろかな』と思ったんです。もともと20歳で上京したときから、いつか沖縄に帰ることは決めていたので。嫁と結婚するときも、それが条件だったんですが、“OK”と言ってくれて。

僕が60歳を超えて帰るよりも、まだ体力のあるうちに帰ったほうがいいとも思っていましたし。自然とタイミングが来た感じですね。ただ、大阪から移住したのは僕だけ(笑)。嫁と子どもたちは、引き続き大阪で暮らしてるんです」

なんと……! 単身赴任状態なのだと笑う。

「もちろんすごく悩みましたよ。でもやっぱり、僕には沖縄への思いがずっとあって。『ワンナイR&R』(2000年~2006年)のころ、どんなに多忙でも1日休みがあれば沖縄に日帰りしていました」

妻の実家は大阪で、子どもたちの学校も大阪。川田は月に1~2回は仕事で大阪に行き、夏休みなどには大阪から家族が会いに来てくれるという。

「最初のころは『思い描いていた沖縄生活と違う』『家族に会いたいからやっぱり大阪に帰る』ってならないか不安もあったんですが、実際に住んでみて、やっぱりよかったと思っています。沖縄でしっかり根を張って、僕だからできる笑いを届けたい。

それともう一つ、沖縄であった戦争のことを風化させないように、戦争の悲惨さ、今ある平和のありがたさを多くの人たちに伝えていきたいと考えています」

自分のルーツをたどって感じた使命感

沖縄生まれ、沖縄育ち。川田が戦争に思いを寄せるのは、沖縄が日本に返還された翌年の1973年生まれで、地元では“復帰っ子”と呼ばれる世代だからだろうか?

「それも大きな理由ではあります。もう、本当におじいやおばあがどんどん亡くなっていて、戦争体験者が少なくなってきているので。

2年前に、1972年生まれの仲間で『今のうちに撮っておこう』と、伊江島のおじい・おばあの戦争体験のドキュメンタリー映画『にげるは生きる~結どぅ宝』を作ったんですよ。おじい、おばあは苦しい思いをしながらも体験談を話してくれて、聞かせてもらっている僕も本当に苦しかった。

沖縄のいろんな文化に改めて触れて、その歴史をたどっていくと、戦争があることに気づいたんです。それを伝えなきゃっていう思いも、年を重ねるごとに大きくなっていったんですよね」

川田の祖父は戦争で亡くなっているという。

「写真を探して見ると、まだ1歳だった母を祖父は抱っこしていて。その直後に亡くなったそうです。僕がその話を知ったのは、50歳のとき。家族でも語れないぐらい悲惨なことが、実際に80年前にあった。戦争は歴史でも過去でもなく、家族の話なんです。自分の気持ちが大きく動きました。

沖縄であった戦争を知ることで、今こうやって生きていることのすばらしさを僕は伝えたい。祖父が『お前が伝えていけ』って言っているのかもしれないし、『これにちゃんと向き合わなきゃな』という使命感が強くなったというか。やっぱり自分の気持ちがそこに向いていくんですよね」

また、7年前に急性肺塞栓症にかかったことも、人生観に影響を与えたと振り返る。

「エコノミークラス症候群って言うと聞きなじみがあるかな。カジュアルな響きだから甘く考えていたら『命を落とす可能性大です』と医師に言われて。簡単に言うと脳梗塞の肺バージョン。

退院後、3年ほど血液をサラサラにする薬を飲み続けて完治しましたが、『俺はいつ死ぬかわからん。後悔しないように生きよう』と思うようになりました」

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