
元天才ヴァイオリニスト・青野一が、海幕高校オーケストラ部の仲間たちと苦楽を共にし、青春のアンサンブルを奏でるアニメ「青のオーケストラ Season2」(毎週日曜昼5:00-5:25、NHK Eテレ/ABEMA・dアニメストア・ディズニープラス・Hulu・Leminoほかで配信)。その第3話が10月19日に放送された。今話では、部活と勉強の板挟みで苦しんでいた2ndヴァイオリンのパートリーダー・滝本かよが、青野との会話をきっかけに大きな決断をするまでの過程が描かれた。放送後にはSNSを通じて、視聴者から滝本への温かいエールが続々と寄せられた。(以降、ネタバレが含まれます)
■滝本の背中を押した青野の言葉
駅のホームで声をかけてきた青野一(CV.千葉翔也)と共に、電車へ乗り込んだ滝本かよ(CV.渕上舞)。家族のことで苦労してきた青野の境遇は、どこか自分に似ている。そんなことを考えていた滝本は、塾に向かうのをやめ、青野を誘ってカフェへ行くことに。そこで初めて、滝本は本当の気持ちを語り始める。
部活も、コンクールも、家族も、自分も、全てを「しょせん」と冷めた目で見ていた。滝本はそう吐露し、前にヴァイオリンのパートリーダーを務めていた日向(CV.安齋由香里)が、部活を辞めた時の出来事を話す。日向は一生懸命やっていたのに、道を外れたとたんのけ者にされてしまった。その様子を目の当たりにした滝川は、気持ちが冷めたのだと打ち明け、自分には意思がないと自嘲する。
苦しくても頑張っている自分を褒めてあげてもいいと言う青野に、少しだけほぐれた滝本の心。しかし、スマホに届いた母親からの大量のメッセージに、滝本は再び表情を硬くする。その背中を押したのは、父親に最後まで言いたいことを言えず、後悔しているという青野の言葉だった。滝本はついに、自分の思いを母親に伝える覚悟を決める。
滝本の高校生ならではの苦悩や葛藤に視聴者も共感。SNSには「所詮部活、頑張ったって無駄、のくだりとかさ。冷めた目で見ちゃうの…なんか、分かるんだよねその気持ち」「高校生って大人になったつもりで何でもできるって思うんだけど、全然思い通りにいかなくて、ままならなくて、気づいたら八方塞がりになっちゃうんだよね…つら」などのコメントが寄せられた。

■滝本の決断は「コンクールまで全力で」
コンクールまでは部活に集中すると決め、パートリーダーとして弦楽器のメンバーを牽引する滝本。同期メンバーと顧問の鮎川広明(CV.小野大輔)は、複雑な思いと共にその決断を受け止める。滝本をずっと気にかけていた前コンサートマスターの原田蒼(CV.榎木淳弥)も、鮎川の車に同乗した際に、滝本の決断を知らされるのだった。
そんな事情を知らない青野は、佐伯直(CV.土屋神葉)たちと帰る途中、滝本と話す裾野姫子(CV.金澤まい)が泣いているのを見たと聞かされる。だが翌日、部活にやって来た滝本と裾野はいつもと変わらない様子だった。コンクールが終わるまで、滝本は1年生に部活を辞めることを話すつもりはないのだろう。いざ滝本の決断を聞いた時、青野たちがどんな反応を見せるのか気になるところだ。
一方、裾野はパートリーダーを辞めてもいいと言ったことで、結果的に滝本を追い詰めてしまったことを後悔していた。電話越しに泣きながら詫びる裾野に、滝本は「私自身が決めたの」と返す。激怒する母親を説得し、残された少ない時間を精一杯部活に注ごうと決めた滝本。学校へ向かう彼女は、吹っ切れたような清々しい表情を浮かべていた。
青野と2人きりで話したことをきっかけに、中途半端だった自分と、部活を「まだ辞めたくない」という気持ちに気づいた滝本。彼女の決断は100%本意ではないだろうが、母親ときちんと向き合い、自分の意思を伝えられたことは大きな前進だったのだろう。滝本が久しぶりに見せた曇りのない笑顔は、少し切なくも輝いて見えた。

■前を向いた滝本に視聴者もエール
滝本のスマホに届いた、母親からの大量のメッセージ。滝本と2年生部員たちの少しぎこちないやり取り。裾野の涙。前話に続いて辛い描写も多かったが、滝本が自分自身で“これから”を決めたことに、視聴者も安堵したようだ。
SNSには「お母さんを説得する事が出来て、コンクールまでは全力で部活頑張れそうで良かった」「とりあえず滝本先輩が自分で決めたのはよかった」「コンクールまで。こればかりは仕方ない。滝本先輩が自分で決めたことに意味がある」など、決断を称える声が続々。「かよ先輩覚悟を決めたか…コンクール全力でがんばれ…!」「うん、応援する!」とエールを贈る視聴者も見られた。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)


