異なる国や文化を持つ学生たちが、一つの目標に向かって力を合わせる。
そんな光景が、秋の三重県・鳥羽市で広がりました。
鳥羽商船高等専門学校が開催した「KOSEN Global Camp」は、国内外の学生たちが英語を共通言語に、環境にやさしい“ものづくり”を通して協調性や創造性を学ぶ合宿プログラムです。
1週間にわたる活動では、SDGsの理念を取り入れたワークショップや、企業見学、万博でのフィールドワークなど、学びの場が多方面に広がりました。
初めはお互いの言葉や考え方の違いに戸惑いながらも、翻訳アプリやジェスチャーを使って意思疎通を重ね、やがて自然と笑顔が増えていく――。
短い期間の中で、学生たちは「伝えよう」「理解しよう」という姿勢を育み、国や文化を越えて絆を深めていきました。
それは単なる英語研修やものづくり体験ではなく、未来を共に創る力を体感する時間。
グローバルな時代を生きる若者たちにとって、大きな一歩となる経験になったようです。
グローバルな学びが交差する場所 ― KOSEN Global Campとは

国籍や文化の違いを越えて、学生たちが一つの目標に向かう——。
そんな国際的な学びの場として注目を集めているのが「KOSEN Global Camp」です。
このプログラムは、全国の高等専門学校(高専)と海外の教育機関が参加する短期合宿形式の教育プログラムで、今年は三重県鳥羽市にある鳥羽商船高等専門学校で行われました。期間は9月20日から26日までの1週間。日本国内の学生に加え、ベトナムやタイなど海外からも学生が参加し、英語を共通言語に協働しながら活動を進めました。
目的は、国際社会で求められる「協調性」「発想力」「実践力」を育むこと。
語学力の向上だけでなく、実際の社会課題を題材にしたPBL(課題解決型学習)を通じて、自ら考え、行動する力を身につけることを目指しています。
鳥羽商船高専では昨年度に続いて2回目の実施となり、前回よりもさらに多国籍・多分野の学生が集まりました。
英語を介したディスカッションや共同制作を通じて、言葉や文化の違いを超えた学びの場が広がったようです。
環境にやさしい未来をつくる ― 学びのテーマは“資源アップサイクル”

今年のプログラムで掲げられたテーマは、「資源アップサイクルによるカーボンニュートラルアクション」です。
限られた資源を有効に活用しながら、環境負荷を減らす“ネイチャーポジティブ”な未来をどう実現していくか――。学生たちはこの課題に向き合い、英語を使いながらアイデアを形にしていきました。
活動では、SDGsの理念を踏まえた実践的なワークショップを展開。
グループごとに意見を出し合い、資源の再利用や新しいものづくりの方法を検討しました。3DCADを用いた設計や試作など、工学的な視点からもアプローチし、発想力と技術力の両面を養う機会となりました。

また、開催期間が大阪・関西万博と重なっていたこともあり、学生たちは万博会場を訪問。各国のパビリオンで、世界が取り組む環境・エネルギー問題への挑戦を学びました。さらに、三重県伊賀市にあるDMG森精機株式会社 伊賀工場を訪れ、最先端の製造現場を見学。グローバルに活躍する企業の姿勢に触れ、学びを現実社会へとつなげる貴重な経験になったようです。
SDGsやカーボンニュートラルといったテーマは、教科書で学ぶだけではなかなか実感しづらいものです。
しかし、こうした体験型プログラムを通じて、学生たちは「自分たちにできる小さなアクション」から地球の未来を考える視点を得たのではないでしょうか。
