関西のタージン、かつては千葉県のジャガーさんなど地域に根差したローカルタレントの人気や影響力は、局地的には全国区のタレントを上回ることもある。そして、広い広い静岡県にもひとり、圧倒的影響力を持つローカルタレントがいる。その女帝の名は久保ひとみ。同県出身の広瀬姉妹らもファンを公言する彼女はいったい何者なのか。その正体に迫った。
自宅は「浜名湖の3分の1くらい」
――本日は“静岡の女帝”と言われる久保ひとみさんのその支配力に迫ろうと思います!
久保ひとみ(以下、同) いやいや、もう全然! ただのおばさんですよ。
――本当ですか?
本当ですよ! 女帝だったら歩いてるだけで「あ、久保ちゃんがいる!」って言って若い男性たちに胴上げされたり、新幹線で隣になったご婦人に「あ、久保ちゃんじゃん! このゴミ捨ててきて」って言われないでしょ?
――親しみやすさは伝わります(笑)。でも、地元の浜松には豪邸が建っているという噂も……?
それよく言われるんですけどね。まったくそんなことありません! まぁ小さくはないですよ。浜名湖3分の1くらいの大きさです。
――(笑)。CMも相当あるとか。
そうですね。いま現在、年間契約をいただいているのは17本です
――17本⁉ それは豪邸も建ちますね。
いやいや、あくまで静岡密着の企業さんですからね。みなさんのご想像より(契約金は)0がふたつくらい少ないと思っていただければ。
――でも、静岡においては同郷の広瀬姉妹より影響力があるとか。
そんなわけないじゃないですか! ただ長くやってるから広瀬すずさん、広瀬アリスさん、磯村勇斗さん、松村北斗さんには「小さい頃から見てました」と言ってもらえてうれしかったです!
――静岡県民にはおなじみの『まるごと』(静岡第一テレビ)には約30年近く出演していると。
はい。産休でいなかった時期はありますが。
――約30年の中で印象に残ってることは?
生中継の動物園ロケでニシキヘビにグルグル巻きにされたり、動物にツバを引っ掛けられたり、掛川花鳥園では鳥にピアスを食べられたこともありました。
――体張ってますね!
基本、NGありませんから。唯一のNGはビキニ。私がというより、視聴者の方からのNGですね!(笑)
定員120名、ファンと行く北海道ツアーも一瞬で完売
――そもそも、なぜ静岡でタレント活動を?
もう完全になりゆきですよ。静岡の短大を出た後に地元で幼稚園の先生をしてたんですけど、狭い世界にずっといるだけじゃ何も見えないなと思って、大阪に出てイベント会社でOLしてたんです。
――東京ではなく大阪に?
小さい頃からよくしゃべる子供だったんで、大阪のほうが合ってるかなって。でも務めてた会社が倒産して、ラジオとかしゃべりの仕事をするようになったんです。
――それがタレント活動のスタート。
そうですね。ところが、父が余命宣告をされたことを機に静岡に帰って、せっかくだからしゃべる仕事がしたいなといろいろとオーディションを受けたんです。で、気がついたら今に至ると。
――人生、何が起こるかわかりませんね。すっかり静岡の大スターとなった久保さんは。最近では「まるごと」が主催した「久保ひとみと行く!北海道2泊3日」は、料金が11万7000円からと高額にもかかわらず、完売になったとか。
定員120名が一瞬で完売しました。
――おそるべきローカルタレントです。
恐縮です。でも、もともと“ローカルタレント”って言葉はあんまり好きじゃなかったんです。なんだかバカにされてるような気がして。
でも、今は誇りに思えるようになりました。それも地方の垣根が時代とともになくなったと実感できるようになったからでしょうか。
タレントさんも昔は「来てやったぜ」みたいな感じがあったんですけど、最近では中央で活躍されているタレントさんが地方でも全力を尽くしてくださる。地方創生が根づいてきてるような気もします。
――久保さん自身も、近年ではちょこちょこ中央の番組に出演してますよね?
はい、ありがたいことに。
――東京進出を狙ってる?
めっそうもない。東京の番組に出演させていただくのはただただ楽しいだけです。それに、静岡県の方って地元愛が強くて、静岡で育ったものをすごく応援する気質があるんですね。「おらが町の久保ちゃんが東京のテレビに出る!」とすごく応援してくれるので、やりがいがありますよ。

