惜しまれた。かねての課題を再確認した。
ラグビー日本代表は10月25日、4万1612人を集めた東京・国立競技場へオーストラリア代表を迎えた。世界ランクで6つ上回る7位の通称ワラビーズに15―19で通算7敗目を喫した。
約9年ぶりに復帰して2シーズン目のエディー・ジョーンズヘッドコーチは、しばらく黙った後にこう切り出す。
「残念な結果。ただ嬉しく思うことは、ファイトし続けたことだ」
守りは冴えた。立ち上がりの10分間で、自陣中盤での連続フェーズを耐えて攻撃権を取り戻すこと2回。序盤からよい兆しを示した。
イエローカードで数的不利を負いながら、トライライン前で危機を切り抜けることもハーフタイムまでに2度あった。36分頃のワンシーンは先方のエラーに助けられた形だが、遡って19分以降は最後の白い線に足のついたまま10フェーズを耐えた。
突進で攻め切れぬと見たオーストラリア代表が後ろにパスをしたその先へ、身長167センチのウイング、石田吉平が刺さったのだ。最後はナンバーエイトでこの日90キャップのリーチ マイケルがスティール。ペナルティーキックをもらった。
石田は頷く。
「今回の自分のテーマは『勇敢に』。ディフェンスが一番、チームへの愛を示せますし、勢いをつけられる」
各国のゲームの統計を網羅する『RUGBYPASS』によると、ジャパンでは向こうより5人も多い6名が20本以上のタックルを成功させた。
最多はフッカーの江良颯だ。24本も決めた。0―0の前半10分には、左端をすり抜けようとするランナーをタッチラインの外へはじき出した。4点差に迫っていた後半27分には、自陣中盤での一撃で落球を誘った。
ジョーンズは殊勲の2番を「成長を遂げている」と称えながら、チーム全体の堅守についても言及。今季就任した担当のギャリー・ゴールドアシスタントコーチの功績が大きいと語る。
「いま選手がエキサイトしながらディフェンスに打ち込めるのは彼がいるからです」
昨年10月のニュージーランド代表は19―64で大敗も、この午後は同カードにおける最少失点、最少得失点差を記録できた。着任以来スコッドの若返りに努めてきたジョーンズは、概ねこの調子だ。
「特に(3-14から追い上げた)後半はいろんな局面で競っていた。世界の強豪に間違いなく戦えると確信できた。一つひとつのプレーで戦った。これは約12か月前にはできなかったことだ」 それでも負けたのも事実だ。そもそもオーストラリア代表は直近のテストマッチから先発を13名も入れ替えていたが、日本代表は一部の怪我人を除けばほぼベストメンバーと言える陣容でもわずかに及ばなかった。
反則禍に泣いた。前半37分一時退場した右プロップの竹内柊平は、後半12分にフィニッシュしてもなお反省した。
「申し訳ない、ですよね。勝たないといけない試合で、しかも格上に対して、10分間も14人で…。(フィールドに)戻ったら仕事を遂行しようと思いました」
前主将のリーチはこうだ。
「練習を見直して、規律の部分をもう1回整理していかないといけない」
目指しているスピーディーな連携攻撃も、後半の真ん中あたりまでは影を潜めた。
接点での被ターンオーバーに苦しんだためだ。
ランナーが複数の防御に囲まれ、それを援護役が引きはがすのに苦労した。実際に球を奪われていない局面でも、テンポを遅らされた。
この領域は、7月の対ウェールズ代表2連戦や9月までのパシフィック・ネーションズカップでも懸念材料だった。
11月以降は渡欧し、南アフリカ代表などと計4戦に臨む。今後のバトルを前に明らかなアキレス腱を再確認したのだ。竹内は語る。
「そこは間違いなくこれからも狙われると思います。強化すべきです。今回は(援護役が)味方のキャリー(突進役)に『つくだけ』になっていた。それを相手がスマッシュしてきた。こちらも『つく』んじゃなく、先制パンチをしなきゃいけないと感じました」
トレーニング中や個人ミーティングでは厳しいはずの指揮官が誉め言葉を繰り返していた傍ら、プレーヤーは悔しがっていた。
取材・文●向風見也(ラグビーライター)
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