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〈連続テレビ小説『ばけばけ』〉脚本家が語る「何も起こらない物語を描く」の真意と「光でも影でもない部分に光を当てる」今作の魅力

〈連続テレビ小説『ばけばけ』〉脚本家が語る「何も起こらない物語を描く」の真意と「光でも影でもない部分に光を当てる」今作の魅力

戦後80年の今『ばけばけ』が描くもの  

――今作『ばけばけ』は、戦後80年の節目の年に放送されています。そうした背景を意識された部分はありますか。

ヘブンとトキが出会って一緒になっていく様子をじっくり書くつもりです。そして今までは波乱が多かったけど、これから先は貧しくも平和な家庭が続いていきます。

ヘブンも日本という全く知らない土地に来て、内心は怖かったと思うんです。トキだって松江で初めて外国人に出会い、彼を「天狗」呼ばわりするなど、全く違う価値観をどう受け入れていくかという物語がこれから始まります。

「怖い」と言いながらも、なんとか分かろうとお互い歩み寄っていく。自分の正義ばかりを主張するのではなくて、オープンマインドに接していく。それを書くことが、今作の世界観を表現することかなと。明治時代に外国人と一緒になった夫婦の姿をみて、いろんな価値観があるけど歩み寄れたらいいよねという姿を書きたいです。

――日常の中で価値観の違いを乗り越えることが、平和を考える一つのきっかけになるという捉え方でしょうか。

そうですね。いろんなニュースが流れたあとの午前8時に朝ドラは放送されるので、『ばけばけ』を見てふと立ち止まるきっかけにしていただいてもいいのかなと思っています。

#後編「出奔した元夫・銀二郎に託した脚本家の想い、盟友・岡部たかしとのタッグとシジミ汁の裏エピ」へつづく

取材・文/木下未希  

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