F1メキシコシティGPの決勝レースが行なわれ、マクラーレンのランド・ノリスが優勝。角田裕毅(レッドブル)は11位だった。
メキシコシティGPの舞台はエルマノス・ロドリゲス・サーキット。標高2200m以上という高地であるため空気が薄く、空力性能や冷却性能に影響が出る。そして気温は25度、路面温度53度というコンディションで、スタート時刻を迎えた。路面温度は、この週末最も高くなった。
スタート時のタイヤ選択は大きく分かれた。多くがソフトタイヤを選んだが、マックス・フェルスタッペンと角田裕毅のレッドブル勢はミディアムタイヤを選択。ハードタイヤを履くマシンもいた。またフロントロウの2台は、新品のソフトタイヤを1セット残しており、これを履いた。
スタート直後の1コーナーでは、やはり大混乱が起きた。フェルスタッペンなど複数のマシンがコースオフ。ルクレールは一時先頭に立ったが、そのルクレールもコース外を走っていたようで、ポジションを戻した。
角田はふたつポジションを上げて8番手。後方にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を従える格好となった。フェルスタッペンを援護する上でも、重要なポジションアップであった。
6周目、フェルスタッペンが前を行くルイス・ハミルトン(フェラーリ)にオーバーテイクを仕掛けるが、両者軽く接触。フェルスタッペンはこの攻防の間にコース外を走ってしまったため、ハミルトンにポジションを戻そうとする。この間にジョージ・ラッセル(メルセデス)が漁夫の利を狙ったが、フェルスタッペンがブロック。その間隙を突いてなんとオリバー・ベアマン(ハース)が4番手に浮上した。
なおこの時ハミルトンはコース外を走行、事前に定められた形でコースに戻らなかったとして、10秒のタイム加算ペナルティを受けた。
11周目、角田はメインストレートでピアストリにオーバーテイクされ、その後すぐにエステバン・オコン(ハース)にも迫られてしまう。フェルスタッペンもベアマンに引き離されており、ミディアムタイヤでスタートしたレッドブル勢は、2台揃って厳しいレースを強いられてしまったように見えた。
22周目終了時点でアントネッリがピットインし、ミディアムタイヤに履き替えると、続く23周終了時点ではハミルトンがピットイン。ハミルトンはここで10秒のタイム加算ペナルティを消化した。
その後は各車続々とピットイン。24周目にベアマンとピアストリ、25周目にラッセルが入った。少し遅れて先頭の2台もピットインしたが、ノリスは既に大量リードを築いており、首位の座を明け渡すことなくコースに復帰した。
タイヤ交換を済ませたマシンのペースは素晴らしく、32周目にはまだピットインせず走り続けていた角田をベアマンがオーバーテイク。角田はその後、他のマシンにもどんどん抜かれてしまう。
そんな角田は36周目、フェルスタッペンは37周目にピットストップを完了する。ただ角田のピットストップの際、リヤのジャッキマンがミス。ジャッキアップを一発でできなかったことで作業が混乱してしまって12秒ものストップ時間を強いられ、大きくポジションを落とすことになった。
このまま各車がチェッカーを目指すように見えたが、ソフトタイヤスタートの上位勢はミディアムタイヤでの走行を早々に諦め、2度目のピットへ。ピアストリやアントネッリ、ハミルトン、そしてベアマンやラッセルは、2ストップ戦略だったのだ。
そんな戦略の違いもあって、フェルスタッペンは3番手にポジションアップ。しかもペース自体も良く、2ストップ勢を寄せ付けないばかりか、2番手を行くルクレールに迫った。
残り2周というところで、フェルスタッペンはついにルクレールに追いつきDRS圏内に入ったが、サインツJr.がマシンを停めたことでバーチャルセーフティカー(VSC)が出され、アタックのチャンスが得られないままファイナルラップに突入。最後の最後でVSCは解除されたものの、フェルスタッペンはルクレールに0.725秒届かず3位フィニッシュとなった。
ノリスは完璧なレース運びで今季6勝目をマーク。この勝利で5位に終わったピアストリを1ポイント差で逆転し、ポイントリーダーに躍り出た。
3位となったフェルスタッペンも、ポイントリーダーとの差を4ポイント縮めることに成功し、残り4戦で36ポイント差と、十分に逆転の可能性を残してメキシコを去ることになった。
ベアマンは殊勲の4位。序盤の混乱を味方につけた後も、素晴らしいペースで後ろから迫るトップチームのマシンを抑え、見事にポジションを守りきった。
角田は最終的に11位。序盤はピアストリを抑える形でフェルスタッペンのタイトル争いを援護射撃し、自身もポイント獲得が狙える状況だったが、ピットストップでの10秒近いタイムロスが大きく響いてしまった。

