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『ばけばけ』21話「ラシャメン(洋妾)」というワードが話題に モデルの小泉八雲・セツ夫婦がさらされた偏見とは

『ばけばけ』21話「ラシャメン(洋妾)」というワードが話題に モデルの小泉八雲・セツ夫婦がさらされた偏見とは


『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

【画像】え…っ! 北川景子レベル? コチラが実の母が「松江藩随一の美女」と言われた、トキのモデル「小泉セツ」さんです

正式に結婚しても「ラシャメン」扱いになる?

 2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。

 第5週目では「松野トキ(演:高石あかり)」と「銀二郎(演:寛一郎)」が別れてから4年が経過し、22歳になったトキはシジミ売りをしながら働いています。そんななか、ついに松江にトキの未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」がやってきました。ここからふたりが夫婦になるまでの物語に、注目が集まっています。

※ここから先の記事では、『ばけばけ』のネタバレにつながる情報に触れています。

 21話では、外国人の妾「ラシャメン(洋妾)」が、多額のお給金をもらえることが話題になりました。遊郭で働く「なみ(演:さとうほなみ)」は、ヘブンのラシャメンの座を狙っているようです。

 ただ、当時ラシャメンは日本人の妾以上に、人びとから蔑まれていたといわれています。トキのモデルである小泉セツさんは、妾ではなく正式にラフカディオ・ハーンさんと結婚しましたが、周りから偏見の目にさらされたそうです。それは当時のいわゆる「お雇い外国人」たちが、日本人には手が届かないような高給取りで、嫉妬されていたことも関係していたのかもしれません。

 1890年(明治23年)から松江の尋常中学校の英語教師となったラフカディオ・ハーンさんの年収は、県知事の次に高い100円だったといいます。さらに、ハーンさんは1896年から東京帝国大学の講師を務めており、当時の年収は400円にもなったそうです。

 セツさんは、ハーンさんの身の回りの世話もしていた尋常中学校の教頭・西田千太郎さんの紹介で、1891年2月にハーンさんの自宅の住み込みの女中として働き始めたといわれています。生家の小泉家も養家の稲垣家も没落して困窮していたセツさんにとって、この仕事はかなり魅力的だったようです。

 そして、ふたりは同年のうちに夫婦となり、1896年に正式に結婚しました。その際、ハーンさんは「小泉八雲」に改名し、日本に帰化しています。

 記録によると、セツさんは後年、次男の巌さんの妻である翠さんに、ハーンさんとの結婚後に周りの人間がみんな「洋妾、洋妾」と言ってくることが一番辛かったことを、こぼしていたそうです。

 また、ハーンさんも妻がそういった偏見にさらされることを気に病んでいたといいます。ハーンさんは熊本に赴任していた時期(1891年~1894年)に、同居していた正義という隠岐の士族の子供をかわいがっていました。しかし、あるとき正義さんが洋妾の唄を歌うとハーンさんは怒り、すぐに彼を実家に送り返したという逸話が残っています。

 トキも今後、周りからラシャメンと蔑まれる可能性が高そうです。主人公夫婦が偏見を乗り越えていく姿も、見どころとなるかもしれません。

※高石あかりさんの「高」は「はしごだか」が正式表記。

参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)、『セツと八雲』(著:小泉凡/朝日新聞出版)

配信元: マグミクス

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