「コンパクトになって内容量そのまま」
2024年秋、新宿駅構内に貼り出されたあの広告を、覚えている人はいるだろう。ポテトチップス「プリングルズ」のショート缶をX線で透かし、新旧で同じ量が入っていることを「見せて納得させる」という、なかなか凝った仕掛けだった。
日本ケロッグはかつて、この「PRINGLESCANプロジェクト」を2024年10月7日から1週間にわたって掲出し、公式SNSでも「新ショート缶の“内容量そのまま”を伝えるために、X線検証してみたよ」と発信した。
新ショート缶の高さは117ミリから102ミリへ15ミリ縮んだが、内容量は確かに据え置きで、サワークリーム&オニオンとうましおは53グラム、Hi! CHEESE!は48グラム。当時は「内容量を明示するだけまだ潔い」と受け止める声の一方で、「開き直りではないか」と見る向きもあった。
その記憶が、およそ1年半が経過してひっくり返ることになる。日本ケロッグが3月に出した公式リリースによれば、2026年3月16日出荷分から、サワークリーム&オニオンとうましおは53グラムから48グラムへ、Hi! CHEESE!とコンソメ&オニオンは48グラムから45グラムへ、いずれもショート缶の内容量が減らされた。理由は「昨今の事業環境を踏まえ」とだけ記されている。
パッケージサイズは据え置きゆえ、缶の見た目はそのままに、中身だけが目減りした格好だ。公式告知は出されているので「ステルス値上げ」ではない。だが過去に「内容量そのまま」を大々的に打ち出した分、あの広告を覚えていた消費者ほど、この縮小にはショックを受ける。
加えて「1枚1枚も小さくなった気がする」という感想がネット上では飛び交っており、メーカーへの不満は静かに広がっている。
「ジェネリックプリングルズ」と呼ばれ…
そんな空気の中でにわかにクローズアップされているのは、ドン・キホーテの「情熱価格 キャニスターポテトチップス」だ。サワークリーム味で内容量150グラム、価格は店舗や時期で変わるが、170円台から190円台前半で売られている。プリングルズのM缶(105グラム)が200円から280円前後で並ぶことを考えれば、量で約1.4倍、価格でも割安だ。
原産国はマレーシアで、プリングルズと同じ。「プリングルズの方がパンチがあって濃厚、ドンキはあっさり食べやすい」と味の好みは分かれるが、量と価格の見え方では、かなり分がある。SNSでは「ジェネリックプリングルズ」「150グラムで200円しないし神」と呼ばれているが、プリングルズの代替候補として、以前から名前が挙がっていた商品なのだ。
そもそも値上げそのものは、原材料高騰の中ではどのメーカーも避けられない局面となっている。問題は値上げの中身ではなく、ブランド側が直前まで打ち出していた言葉と現実のズレだ。「コンパクトになって内容量そのまま」という大々的な約束を覚えている消費者の前で、内容量を削る。消費者の目には「結局、そうなるのか」と映る。広告の言葉は思いのほか長く、記憶に残るものである。
(ケン高田)

