投資信託で使う「申込日・約定日・受渡日」の違いとは?用語の意味をわかりやすく解説

投資信託の売買は、申込→約定→受渡という流れで行われますが、申込をしたときに支払・受取の金額がわかっているわけではありません。この記事では「申込日・約定日・受渡日」の違いや用語の意味を実際のカレンダーなどを使いわかりやすく解説します。

申込日・約定日・受渡日の違い

投資信託の売買は、申込→約定→受渡という流れで行われますが、申込をしたときに支払・受取の金額がわかっているわけではありません。申込受付締め切り後に、運用会社がその日の基準価額(投資信託の値段)を算出して翌日以降に公表しているためです。

そして、取引の成立を約定といいますが、ここで初めて自分の売買した値段が決定されます。しかしこの段階ではまだお金のやり取りは行われておらず、後日、お金や有価証券のやり取りを行うことを受渡といいます。では、これらが行われる日を詳しくみていきましょう。

申込日とは?

申込日とは取引成立を決める起点となる日付です。投資信託の注文申込受付は原則、営業日の15時までとなっています。そのため、15時を過ぎると翌営業日付となります。

営業日というのは、証券取引所が開いている日です。例えば、土日は取引所が休業なので、金曜の15時以降に注文を出した場合は、翌営業日である月曜日が申込日になります。申込をした金融機関が土曜日に営業していたとしても、あくまでも取引所が開いているかどうかで判断します。また、受付時間間際ですとその日の取り扱いに間に合わないこともあるので、時間には余裕をもって申込をしてください。また、一部の投資信託では受付時間が異なるものもありますので、必ず目論見書などでご確認ください。

■申込日の考え方

約定日とは?

約定日とは申し込んだ取引が成立した日のことをいいます。
国内の資産を投資対象としているものであれば、申込日と約定日は同一になるケースがほとんどです。ですので、前日の基準価額と営業日当日の値動きを照らし合わせ、その日の15時までに注文を出せば、予測に近い基準価額で約定される可能性が高くなります。

一方、海外の資産を対象としている場合、申込の翌営業日が約定日になり、市場が日本時間の夜間に動くところもあります。このような場合は、約定する基準価額が予測と乖離することもあります。支払・受取金額は、少し幅をもって考えておきましょう。

受渡日とは?

受渡日とは、決済される日=実際に現金が動く日のことです。
購入の場合は、ほとんどの金融機関において、申込時に口座に資金がないと注文が出せない仕組みになっています。
売却の場合は、実際に現金が入ってくる日をあらかじめ確認しましょう。土日・祝日を挟むと現金化が遅れます。さらに、GWや年末年始など祝日が重なる場合、現金化が2週間以上先ということもあります。特に海外の投資対象の商品などは、日本の祝日に加え、海外の祝日も加味しなければなりません。
約定日、受渡日は「〇営業日後」というような書き方をしているケースがほとんどです。下記の図を参考にしてください。

■商品によって大きく異なる約定日・受渡日

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なぜこれらの日付が重要?

なぜ、日付の確認が必要なのでしょうか。現金化のスケジュールがずれるということだけではなく、年末の売却時の所得税計算、NISAの非課税投資枠、分配金の受取などにも関係してくるからです。

ポイント1:所得税

日本では、所得税は暦年(1月1日から12月31日)で計算します。年内にお金の受渡が完了するかどうかでその年の税金の対象になるかならないかが違ってきますので、年末の売却は受渡日の確認をしましょう。

ポイント2:NISA口座

年末の31日は証券取引所の休業日となります。そのため、前日の30日に投資信託の購入申込をしたとしても、受渡は翌年になってしまい、その年のNISAの非課税投資枠を使い切れないということもあるでしょう。年内に注文・約定ができればよいということではないので気を付けてください。

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ポイント3:投資信託の分配金

分配金を受け取りたい場合は、決算日の当日にその権利を獲得している必要があり、そのためには決算日の前営業日までの約定が必要です。決算日は目論見書に記載されています。海外の資産に投資する投資信託などは、申込日の翌営業日が約定日となるため、分配金の権利を獲得するには2営業日前に購入申込をする必要があります。

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■分配金を受け取るためのスケジュール例

※分配金の受取は、決算日からさらに5営業日後となります。