2023年は日本経済の分岐点に


分岐点
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総務省統計局の「平成26年経済センサス」によると、日本の大企業の数は約1万1000社。一方、中小企業の数は380万9000社に上ります。数で言えば日本の企業の99.7%が中小企業です。さらに、大企業の従業員数は約1433万人なのに対して、中小企業の従業員数は約3360万人です。つまり日本では、企業数の99%以上、雇用の70%を中小企業が担っています。

大企業が相次いで賃上げを発表していること自体はとても良いことなのですが、賃上げの波が雇用の70%を担う中小企業にまで及ばなければ、経済効果は限定的なものとなってしまうでしょう。

また、そもそも賃上げが物価高に追いついていないという実態もあります。厚生労働省が2月7日に発表した2022年分の毎月勤労統計調査によると、1人あたりの現金給与総額は平均で32万6157円と前年比2.1%増でしたが、物価高の影響を加味した実質賃金は前年比0.9%減。賃上げが物価高に追いついていない状況が示されています。

大企業だけではなく、中小企業にまで賃上げが波及していくか、賃上げが物価高を吸収できるほどになるか――。これは言い換えれば、日本が再び経済成長していける国になれるかどうか、ということでもあります。日本の今後の経済成長を考えるうえで、2023年は分岐点となる年かもしれません。