賃貸物件を借りる際に必要になるのが敷金や礼金です。
敷金・礼金という言葉を知っている方も多いと思いますが、なぜ必要なのか、なぜかかってしまうのかについては知らない方もいるでしょう。
この記事では、賃貸物件の敷金と礼金は何か、そして高額になりやすい初期費用を抑える方法について解説します。
賃貸物件への入居を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

敷金礼金とは?

賃貸物件への入居の際に必要になってくるのが敷金と礼金です。
そもそも敷金・礼金とは何を意味するものなのでしょうか?

敷金

敷金とは、あらかじめ大家さんや不動産会社に預けるお金のことです。
保険のような役割だと認識しておくと良いでしょう。
敷金の語源は江戸時代とされていて、この時代の女性は結婚の際に実家から持参金を持って嫁いでいく習慣でした。
そのお金を敷金と呼んでいて、離縁した際には敷金が戻ってくるという仕組みから来ているようです。
賃貸物件での敷金も同じような役割があり、退去の際に敷金から修繕費やクリーニング代が原状回復費として差し引かれます。
他にも、家賃滞納の際にも敷金が使われます。
残った敷金は借主に返ってきますが、敷金以上の金額がかかった場合は追加請求される仕組みです。

礼金

礼金は、大家さんに貸してくれたお礼として支払う謝礼金です。
貸してくれたお礼として支払うものなので、退去時に返ってくることはありません。
この仕組みができた由来は、戦後の賃貸契約にまで遡ります。
この時代に借主が大家さんとなる家主へ金銭や物品を贈っていた習慣が、今の礼金の仕組みとして残っているとされています。
礼金は、関東では敷金とセットで扱われることが多いです。
大家さんはこの礼金で不動産会社の情報掲載、広告などを出して入居者を募集します。

敷金と保証金との違い

実は、敷金と礼金以外にも保証金という言葉を使っている地域があります。
関西地方や中国地方、九州の一部など、西日本を中心に使われている言葉です。
敷金と礼金ではなく、保証金と礼金という組み合わせで使われているのが一般的です。
保証金と名称は異なっていますが、意味は敷金と同じであり退去後に残った分が返ってきます。
役割も敷金と同じで、家賃滞納や退去時の原状回復、清掃代、修繕費などに充てられます。
保証金の大まかな意味や目的は敷金とそこまで差はありませんが、保証金にはお礼の気持ちも少なからず込められている場合もあるようです。
そのため、一般的な敷金よりも高めに設定されている場合もあります。
中には敷金とは別に保証金を設定している不動産会社もあるようです。

敷引きとは

敷引きは、関西地方や九州地方を中心に使われている特約です。
敷引きという言葉から、原状回復費などを敷金から引いてくれるという意味合いで取られがちですが、実は全く違う内容になります。
敷引きは保証金とセットにされることが多く、退去時に家賃の何ヶ月分かの金額を無条件で差し引きます。
差し引かれた金額は部屋の原状回復費に使用されますが、修繕費が安くて余剰金が出ても借主に返されることはありません。
損傷や修繕箇所が多くなった場合は、さらに追加で請求されます。
関東では敷金・礼金がセットで使われるのが一般的ですが、関西や九州などの西日本では保証金・敷引きがセットになるケースが多いです。
どのような組み合わせであっても、敷引きとなる金額は絶対に返ってこないことは覚えておきましょう。

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敷金と礼金の相場

賃貸物件を借りる際には、初期費用がいくつかかかることがわかりました。
そこで気になるのが、敷金と礼金の相場です。
目安となる敷金と礼金の割合は、以下のとおりです。

・敷金…家賃1~2ヶ月程度
・礼金…家賃1~2ヶ月程度

敷金と礼金ともに家賃1ヶ月分が主流ですが、まだ地域によって差があるのが現状です。
さらに、近年は敷金があっても礼金なしの賃貸物件が増えてきました。
これは初期費用を抑えることによって、少しでも早く入居してほしいと考えているからです。
実際に、賃貸物件に入居する際には敷金・礼金以外にも、仲介手数料や前家賃などの費用が必要です。

【入居時にかかる可能性がある初期費用】

・仲介手数料…家賃の0.5~1ヶ月分程度で、不動産会社に支払います。
・前家賃…入居する月の家賃を前払いするものですが、月の途中であれば日割り計算されます。
・火災保険…火災、水漏れなどの損害保険に加入する必要があります。
・保証料…家賃保証のためのお金であり、払えなくなった場合の備えになります。