この先も続く長い人生を、誰もがいつまでも元気に若々しく過ごしたいと願っています。老化に負けずに健康な体と心を保つにはどうすれば良いのでしょうか。『「一生老けない」にいいこと超大全』の著者で、テレビ番組などでもおなじみの白澤卓二先生に老けないための食習慣についてうかがいました。

教えてくれたのは…
白澤卓二先生(お茶の水健康長寿クリニック院長)
1958年神奈川県生まれ。医学博士。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝子学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。『100歳までボケない101の方法』、『老いに克つ 百寿の生き方』など著書は200冊以上。テレビ番組にも多数出演し、わかりやすい医学解説が好評を博している。

よくかんで食べると脳の働きが活性化する



――体を老けにくくして若々しさを維持するためには、どのような方法があるのでしょうか?

白澤先生 食生活においては、かむということが大切です。現代人は咀嚼力が極めて弱くなっています。近年の統計によれば、40代、50代の約8割が歯周病を患っているという結果が出ています。歯周病になると歯肉が弱くなり、かむときの圧力に耐えられなくなります。その結果、余計に咀嚼力が低下するという悪循環に陥ってしまうんです。

――咀嚼力が低下すると体にはどのような影響を及ぼすのでしょうか?

白澤先生 かむことで脳内の血流が増え、脳の運動野や感覚野、前頭前野などが活性化することがわかっています。かまなくなると脳内の血流の流れが悪くなって機能が低下し、うつや記憶力の低下など、さまざまな弊害が生じてしまいます。つまり、かまなくなると確実に老けてしまうんです。

(広告の後にも続きます)

食卓にはかまないと食べられないものを用意する



――食事の際にはかむことを意識するのが良いのでしょうか?

白澤先生 私のクリニックにいらっしゃる患者さんの中で、あまりよくかまずにものを食べている方には「“ありがとう”を6回、心の中で言いながらかみましょう」とお伝えしています。ひと口につき30回かむのが理想的で、「ありがとう」を6回繰り返すとちょうど30回になるんです。

また、かまないと食べられないものしか食卓にのせない、という考え方を持つことも重要ですね。

――例えば、主食を玄米や雑穀にするというのはいかがでしょうか?

白澤先生 カレーやオムライスを好む人は多いですが、実はほとんどの人はあまりかまずに飲んでいる状態なんです。なぜかというと、カレーやオムライスのケチャップでコーティングされた白いご飯はスルッと喉に入っていくからです。

でも、玄米に雑穀を入れたもので食べるカレーやオムライスは、よくかまないと喉に流れていきません。玄米と雑穀を混ぜたご飯など、かむことが必要なものを主食にするのはとても良いことです。