以前から「貯蓄から投資へ」という言葉が使われていましたが、なかなか投資人口は増えませんでした。それでも2014年にNISAがスタートしてから、少しずつ投資を始める人が増えてきました。今回は投資と地域性についてデータを見ていきましょう。

日本の投資人口は増えている

以前から「日本人は投資よりも貯金や保険が好き」という言葉があります。平成初期までは銀行の金利も高く、定期預金に預けておけば10年で1.5~2倍程度に増えることも珍しくありませんでした。貯金すれば利子で増えていくということで、日本人にとっては資産運用イコール貯金でOKでした。

ところがバブル崩壊後の日本では金利の低下が続き、現在では預貯金の利子に期待するということはできません。また少子高齢化が進み、老後の生活を支える年金についても期待ができないと言われています。

このような時代背景もあり、国は「自分のお金は、自分で増やしてほしい」という方針を示しています。そのためNISAやiDeCoなどの制度を導入し、一般の人にも投資のメリットがあるような環境を整えてきました。またインターネット上で銀行や証券会社のサービスが利用できるようになり、スマートフォンが一人一台の規模で普及したことで投資環境は激変しました。投資人口が増えてきたのは、時代の要請と、インターネットやスマートフォンなどのサービスや技術面の進化の影響が大きいと考えます。

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投資を促進する代表的な3つの制度


数字のパズル
【画像出典元】「Fida Olga/Shutterstock.com」

投資をしましょうという掛け声と共に、投資をするとメリットがある制度の整備も進んできました。代表的な制度をいくつか紹介します。

1)NISA

2014年にスタートしたのがNISAです。NISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託などで得られる利益が非課税となる、個人の資産運用を支援する制度です。通常、株式や投資信託から得られる利益には、20.315%の税金が課税され、その利益から差し引かれます。しかしNISA口座で売買を行うと、得られた利益を非課税で受け取れます。

2)つみたてNISA

2018年にスタートしたのがつみたてNISAです。NISAは株式や投信信託の売買ができますが、つみたてNISAで取引できるのは金融庁のガイドラインをクリアした投資信託とETF(上場投資信託)のみに限られます。また一括で購入はできず、基本は毎月定額で購入=積み立て購入という方法を採用しています。NISAと同じように、つみたてNISAの口座内で得られた利益については非課税で受け取れます。

3)iDeCo(個人型確定拠出年金)

2001年にスタートしたのが個人型確定拠出年金です。少子高齢化が進む現代の日本において、公的年金だけで十分な老後の生活を享受することはますます難しくなっていると言われています。このような状況を踏まえ、個人が自らの老後資産を築くための仕組みとして、国が整備したのが個人型確定拠出年金制度、通称「iDeCo」です。

なおNISAとつみたてNISAは2023年末で終了し、2024年からは新NISA制度がスタートします。現行のNISA制度が発展的に解消され、投資可能額が最大1800万円まで拡大し、非課税運用期間が無期限に変更されます。これまで以上に投資を取り巻く環境が整備され、個人投資家にとって喜ばしいことといえるでしょう。