鳩は公園や駅など街中で目にする機会が多い身近な動物です。
カラスほど害獣扱いされていませんが、群れで行動する鳩は時に厄介な存在であり、鳩被害で悩まれる方も多くいます。
もし、自宅や自宅周辺に鳩が居座るようになった場合、糞害や騒音だけでなく、人に危害を及ぼす可能性もあるため対策が必要になるでしょう。
しかし、鳩は鳥獣保護法で守られているのでそう簡単に駆除できません。
そこで今回は鳩の被害で困らないためにも、事前に知っておきたい鳩の知識や対策方法についてご紹介します。
鳩被害に困っている方、自宅周辺に鳩が集まっている方はぜひ参考にしてみてください。

ベランダに集まりやすい鳩ってどんな鳥?

鳩を目にする機会が多くても、鳩について詳しい知識を持っている方は多くはないでしょう。
ここでは、ベランダに集まりやすい鳩についてご紹介します。

よく見かけるのは「ドバト」

私たちが普段見かける鳩は主に「キジバト」と「ドバト」の2種類になります。
自然の多い郊外などで見かける鳩は「キジバト」と言い、全国的に生息する鳩です。
キジバトの羽は赤茶色で、首に青い筋模様が入っています。
一方、「ドバト」は普段よく目にする鳩です。
公園や街中など、私たちの生活圏内に生息しています。
大きさは約33cmで、羽の色は灰色や黒褐色、白、緑と赤が混じった色など様々です。

鳩が住みやすいのはベランダ

鳩は本来自然の中で生息し、植物の種や木の実、穀物、豆類をエサとしていました。
ドバトも元々は林や森、農耕地に生息していましたが、郊外の都市化が進むにつれて住みつく場所が市街地へと変わっていったのです。
街中に本来食べていたエサは少ないですが、道に落ちた食べくず、お菓子やパンなどでも問題ないため、食べ物には困りません。
また、鳩は崖や岩棚など、周りが障害物で囲まれた場所に巣を作る習性があります。
こういった場所は、敵に見つかる可能性が低く、産卵を控えた鳩にとっても安全な場所だからです。
私たちの生活圏内も同じように、障害物に囲まれた場所が多く、自然と鳩が好む場所になっています。
例えば工場や倉庫、マンションのベランダ、高速道路の高架下、室外機の裏、雨風の当たらない高所など挙げればキリがありません。
特に鳩が住みやすい場所とされるのがマンションのベランダです。
ベランダには、タカ・ワシ・イタチ・ヘビなど天敵とされる動物はいません。
マンションのベランダであれば、野良猫と遭遇することもないでしょう。
また、出入りが少ないベランダであればなおさら安心して住みつく可能性が高いです。
壁によって雨風も防げ、市街地でエサや水も確保しやすければ鳩にとってこれほど好条件な場所はないと言えます。

実は鳩が集まる原因は人間が作っていた!?

鳩が住みやすい場所の条件は「周りが囲まれた安全な場所」「エサや水場に困らない場所」です。
実は鳩が好む環境は、人間が作り出している場合も多くあります。
鳩が住みやすそうな神社や川沿いの公園といった元から鳩が生息しやすい環境であれば仕方がありません。
しかし、マンションや工場、倉庫といった場所であれば、鳩が住みつく原因がわかっていれば取り除くことも可能です。
鳩は、外敵から自分たちを守るために安全な場所を望みます。
ベランダには、カラスや野良猫がいたとしても人間が駆除してくれるので、鳩にとっての天敵は人間だけです。
もし利用頻度の低いベランダであれば、人の出入りが限られるので鳩にとってより好条件な場所になるでしょう。
こういった場所は鳩の巣作りのターゲットにされやすいので注意が必要です。
ベランダには、エアコンの室外機、給湯器、普段使わない物や、植木、段ボールなど死角が出来やすい状況が多くあります。
鳩が隠れやすい環境にならないよう、なるべく余計なものを置かないようにしましょう。
同様に工場などでも同じ原因が挙げられます。
屋根の梁の部分は特に死角になりやすいので、鳩が住みつかないよう注意しましょう。

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鳩が原因で起こることは?

鳩の被害を受けたことがない方は、鳩による被害がどれほど大きいのかイメージできないかもしれません。
ここでは、実際に鳩が原因で起こる被害について紹介しましょう。

フンをする

1番の被害と言えば、鳩にフンをされてしまうことです。
鳩のフンは他の鳥と比較して量が多いとされています。
1日あたりのフンの重さが約30gなので、年間で約10kg相当です。
また、ベランダに住みつく鳩は一羽だけとは限りません。
最初は少しのフン被害だったのが、いつしか複数羽の鳩が住みついて大量のフン被害につながるケースもあるでしょう。
フンは外観を損なうだけではなく悪臭も放つので、気づいた時には手がつけられない状況になっている場合もあります。
夏場になると気温の上昇によりさらに強い臭いになり、ベランダに出るのも嫌になるでしょう。
また、堆積したフンは、ゴキブリやハエ、ダニといった害虫のエサにもなります。
鳩のフンは害虫を集めてしまう原因にもなることは知っておきましょう。

巣を作る

残念なことに、鳩は一度巣を作った場所に何度も巣を作ろうとする性質があります。
鳩は一度見つけた居場所への執着が強いので、巣を撤去しても再び鳩が巣を作りにベランダにくる可能性が高いです。
さらに鳩は「鳥獣保護法」によって守られているので、巣の撤去には注意しなければなりません。
鳥獣保護法では、鳩の卵やヒナを個人で捕獲したり、殺処分したりすることが禁じられているためです。
個人で巣を処分する際には、役所に届け出が必要となります。
また、専門業者に依頼する場合は高額な費用がかかってくるでしょう。
法律に違反した場合には100万円以下の罰金、または1年以下の懲役に科されるケースもあるので気を付けなければなりません。
巣を発見したら早期に卵を産む前に対処することが重要です。

鳴き声

鳩の活動時間は日の出から夕方までです。
遠くから「ポッポゥ、クルックゥ」と早朝に鳩の鳴き声で目を覚ました経験がある方もいるでしょう。
しかし、ベランダから聞こえる鳩の鳴き声は、そのイメージとは全く異なるので甘く見てはいけません。
早朝に起きた鳩は縄張りを主張するためによく鳴くので騒音の原因となります。
しかも鳩の鳴き声は大きく、低いため周囲によく響くのです。
実際に、部屋のすぐ真横のベランダから聞こえる鳴き声は相当大きく深刻なものです。
ヒナが孵化すればピーピーと鳴き声は止まず、寝不足につながる場合もあります。
マンションの場合は自分一人だけの問題ではないので、周囲から苦情がくることも考えられるでしょう。

菌による健康被害と感染症

鳩のフンは悪臭や衛生面での被害だけでなく、健康被害や感染症などにもつながります。
鳩のフンは乾燥すると白く細かい粉となり、空気中に浮遊します。
この乾燥したフンにはたくさんの病原菌が含まれ、吸い込むと病気の原因になる恐れもあるのです。
妊娠中や子どもがいる家庭では、洗濯物に菌が付着してしまうので気を付けなければなりません。
鳩のフンが原因で感染する病気には以下のようなものがあります。

・鳥インフルエンザ
・サルモネラ菌(食中毒)
・クリプトコッカス症
・ニューカッスル病
・オウム病
・鳥アレルギー
・トキソプラズマ症
・ヒストプラズマ症

クリプトコッカス症は軽傷であれば皮膚炎程度で済みますが、重症になると脳や脳脊髄膜に病巣を作り、死に至ってしまうケースもあります。
また、トキソプラズマ症は妊婦が感染した場合、胎児に影響が出ます。
流産や死産、視力障害、水頭症、精神運動機能障害などが主な症状です。

羽を落としていく

鳩の問題点はフンだけではありません。
鳩の体自体にもカビやダニ、寄生虫など、病気を引き起こすものが多く付着しています。
羽も同様にノミやダニが付着しているので、飛び立つ時に羽が落ちれば、同時にノミやダニも舞い落ちています。
近くにいた場合、菌が含まれた空気を一緒に吸ってしまうかもしれません。
浮遊する空気の中にはカビの一種であるクリプトコッカスが含まれています。
鳩が飛び立つ際、空気中に含まれるクリプトコッカスを誤って吸い込んだ場合、クリプトコッカス症につながる危険があります。
このように、鳩はフンだけではなく、羽を含めた鳩そのものにも注意しなければなりません。