CFCL【2024年春夏パリコレクション】

今月初めまで開催された、2024年春夏のパリコレクション。パリならではの多彩な新作が披露された。それらの中から、マリ・クレールデジタル編集長の宮智泉が注目のブランドをピックアップ。

パレ・ド・トーキョーの会場に入ると、まず目に留まったのは草花を模した銀色の作品だ。ベルリン在住のアーティスト、三家俊彦さんが制作したアルミニウム製の作品。ステージの中央でインドの楽器タブラの奏者KYURIさんの演奏する音楽が心地よい空間へといざなってくれる。

今回のテーマについて、リリースには「自然が持つ複雑な色彩、光に透けるマテリアル、そしてまだ見ぬ輝かしい未来を想像させるコレクションです。人々が描く新しい夢と、手触りあるリアリティーの混在した衣服を、Knit-wareとして提案します」とあった。

独特な膨らみのある、ダイナミックなストライプのドレスは、肩幅から裾回りまで縫製することなくプログラミングデータで出力されたもの。オーガニックコットンと再生ポリエステルを混ぜた糸を使って涼しげだ。

また最初のコレクションから発表し続けているPOTTERYというグループで、今回は、半透明のドレスにミラーフィルムを職人がひとつひとつ縫い付けた。約2500枚のフィルムを65時間かけて手縫い。コンピューターと手の融合で新たなニットウェアの表現を模索し始めたという。

3Dコンピューター・ニッティングの技術を駆使した服は、製造時に裁断という工程がないためにごみの排出量を最小限に抑えている。環境問題に対応したブランドであると同時に、デザインも「CFCLだ」というブランドのアイデンティティーが明確だ。シーズンを重ねるごとに進化を続ける。

text: Izumi Miyachi