パターン 子供がいる場合


両親と小さな女の子
【画像出典元】「stock.adobe.com/aijiro」

現在の日本の出生率は約1.3ですから、それに合わせて夫婦の間に子供が1人できると仮定します。結婚3年後に第1子を出産し、出産以降は女性の年収を扶養の範囲内の103万円(月額約8万5000円)に固定します。

子供の養育費の総額は教育費を除いて1人あたり約2000万円と言われていますから、出産後20年間は、女性が稼いだ収入はすべて子供の養育費に回すとします(年収103万円×20年間≒2000万円)。

また、子供が増えたことにより食費などが増えるため、実家への支払いを月額5万円から7万円に増額します。

こうなると、男性の手取り15万円+女性の手取り8万5000円-子供の養育費8万5000円-実家への支払い等7万円-2人の小遣い5万円=3万円が月額の投資金額となります。

なお、児童手当が月額1万5000円前後支給されるはずですが、これは想定外の養育費に消えていくものとします。また、夏・冬の賞与も投資には回さないものとします。

この条件で試算を行った場合の結婚10年後の運用成績は、以下のようになります。

結婚3年後(37カ月目)からは投資金額が月額3万円に減ってしまうため、子供がいない場合と比べると資産は半分以下ですが、それでも結婚10年(120カ月)で1000万円以上になっています。

2000万円の養育費を20年間かけて支払ったら、結婚24年目(277カ月目)からは女性の収入を再び運用に回し、月額の投資金額を3万円から11万5000円(3万円+女性の月収8万5000円=11万5000円)に増やします。

この条件で試算を行った場合、男性が退職する65歳の時には以下のようになります。

こちらも、子供がいない場合のシミュレーションと同様に、親の自宅の老朽化にともない2000万~3000万円のリフォーム代がどこかで必要になります。また、子供の教育費はカウントしていませんから、1000万~2000万円前後の支出があると考えておいた方が良いでしょう。

それを差し引いても、65歳で1億円を超える資産が持てるわけですから、老後にお金で困ることはないでしょう。

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投資で資産が減るリスクはどうコントロールすべき?

歴史的・統計的にみて、資産運用は株式を中心にするのがもっとも高利回りであることは、既にさまざまなデータが証明しています。とはいえ、ブラックマンデーやリーマンショックのような、世界的な株価の大暴落が起これば、短期的ではありますが最大で4割近くの資産が消失することも考えられます。これが半年以内に戻る場合もあれば、数年を要することもあります。

こういったリスクをコントロールする唯一の手段は、売却せずに積み立て続けることしかありません。株式投資は「長い目」で見れば最も効率の良い投資方法ではありますが、その「長い目」が何年くらいを指すのかは誰にもわかりません。

今回紹介した2つのシミュレーションは、計算をシンプルにするために毎月の残額をすべて投資に回しています。しかし、リスクを考えた場合、実際にはある程度の生活資金は手もとに残しつつ余剰資金の範囲内で投資を行うべきでしょう。