生命保険の受取人は誰にする?保険金にかかる税金や受取人の条件を解説!

生命保険は遺された家族の生活を支える大切な保険ですが、死亡保険金を受け取る際には「所得税・贈与税・相続税」のいずれかが発生する場合があります。

それぞれで税額の計算方法や控除額が異なる点に加え、発生する課税区分は生命保険の契約者と被保険者、受取人が誰であるかによっても異なります。

この記事では、生命保険の受け取り時に発生する税金や受取人の条件について解説するので、生命保険への加入を検討中の方は受取人を決める際の参考にしてみてください。

生命保険の受取人の条件

受取人の条件は保険会社によって異なる場合がありますが、配偶者や2親等内の血族に限定されているケースが一般的です。

参照:2親等以内の親族の範囲|日本年金機構

親等は親族関係を距離で表すときの言葉で、直接の血縁関係にある親族を「血族」、配偶者や配偶者の親族など直接の血縁関係がない親族を「姻族」と呼びます。

生命保険の受取人が2親等内の血族に限定されている場合は、被保険者の配偶者・子・父母・祖父母のいずれかとなります。

配偶者・血族以外の方を受取人にしたい場合

保険会社によっては、内縁関係や事実婚にある方や同性パートナーを生命保険の受取人に指定できる場合があります。

ただし、配偶者や二親等内の血族以外を受取人に指定する場合、通常とは異なる基準を満たしていなければなりません。

なお、上記の基準を満たしている場合であっても、保険会社によっては受取人として認められない場合や、保険金に上限が設けられてしまう場合があります。

内縁関係や事実婚の場合、戸籍法上は第三者として扱われるため、法定相続人になることができない点にも注意が必要です。

たとえば、相続税には「500万円×法定相続人数」の非課税枠があるため、仮に法定相続人が4人であれば2,000万円までの死亡保険金は相続税の対象とはなりません。

ですが、上記に該当する方を受取人に指定した場合、法定相続人の非課税枠を利用できないばかりか、相続税額の2割相当を加算した税額を納める必要があるので気をつけましょう。

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受取人によってどのように税金は変わる?

冒頭でもお伝えした通り、生命保険の受取人が誰であるかによって発生する課税区分は異なります。

課税区分によって税額の計算方法や控除額が異なるので、死亡保険金の受け取りで発生する税金の種類を確認しておきましょう。

生命保険にかかる税金はどれくらい?相続税対策におすすめの保険を解説

契約者=被保険者の場合は「相続税」が発生する

生命保険の契約者と被保険者が同一人物で、受取人だけが異なる場合は「相続税」が発生します。

相続税には「法定相続人数×500万円」までの非課税枠が設けられているため、税金の負担を抑えることができます。

「法定相続人」とは?
民法上で定められた相続人のことで、基本的には配偶者や子供、両親、兄弟姉妹などの血縁関係にある方が対象。

たとえば、死亡保険金が3,000万円、法定相続人が配偶者と子供3人の合計4人の場合、相続税は次のように計算されます。

参照:相続税の税率|国税庁

上記の例で非課税枠を利用した場合、3,000万円の死亡保険金で発生する相続税は100万円です。

一方、非課税枠を利用しなかった場合は3,000万円の死亡保険金に対して15%が課税され、50万円の控除額が差し引かれて400万円の相続税が発生することになります。

ただし、上記に加えて基礎控除の「3,000万円+600万円×法定相続人の数」も適用されるため、死亡保険金以外に相続するものがなければ「3,000万円+600万円×4人=5,400万円」で5,400万円が控除できます。

したがって、このケースでは相続税がかかりません。

契約者=受取人の場合は「所得税(一時所得・雑所得)」が発生する

契約者と受取人が同一人物で、被保険者だけが異なる場合は「所得税」が発生します。

死亡保険金を一時金として受け取った場合は「一時所得」、年金形式で受け取る場合は「雑所得」に区分され、それぞれで計算方法が異なります。

ここでは、1,000万円の保険料を支払って、3,000万円の死亡保険金を一時金として受け取った場合の所得税を計算します。

参照:所得税の税率|国税庁
※死亡保険金以外に相続するものがない場合を想定

上記の例で計算すると1,000万円の保険料を支払い、3,000万円の死亡保険金を受け取る場合に発生する所得税は約168万円です。

すべて違う場合は「贈与税」が発生する

契約者・被保険者・受取人のすべてが異なる場合は「贈与税」が発生します。

贈与税には年間110万円までの基礎控除額が設けられているため、110万円までの贈与であれば贈与税は発生しません。

ここでは、契約者が父親、被保険者が母親、受取人が子供のケースで、3,000万円の生命保険で発生する贈与税の計算例を見てみましょう。

参照:贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

上記の例で3,000万円の死亡保険金を受け取る場合、1,195万円もの贈与税が発生することになります。

法定相続人の数やそれまでに払い込んだ保険料の総額で納税額は変動しますが、同じ3,000万円の死亡保険金を受け取る場合でも、受取人が違うだけで納税額に大きな差額が出ることがわかります。

例:3,000万円の死亡保険金を受け取る場合の各種税額

相続税(契約者と被保険者が同一):100万円

所得税(契約者と受取人が同一):約168万円

贈与税(すべて異なる人物):1,195万円

ご覧の通り、契約者・被保険者・受取人をすべて異なる人物にしてしまうと、多額の贈与税を納めることになりかねません。

あくまで一例ではあるものの、上記の結果から生命保険の受取人を選ぶ際は、契約者と被保険者を同一(相続税)にするのが良いでしょう。

なお、相続税の計算は非常に複雑化するケースが多いため、基本的には専門家である税理士に相談するのがおすすめです。