調子に乗る横暴警官

正直、一刻も早く父の病院へ行きたかった私は、もめ事にはしたくなくて考え込んでしまいました。

するとこの男、「警察官の俺が検挙したんだ。払うと約束するまで免許証は返せないよ?」と調子に乗りだしました。さすがにこれはやり過ぎでは? この慣れた感じだと、絶対他にも被害者がいそうです。

とそのとき、私をうまく丸め込めたと思ったのか、彼はなんと、自分の口座情報を書いたメモを渡してきたのです。

「はいこれ、俺の振込先口座」

自ら本名を明かしてきた横暴警官を前に、これは逆襲のチャンスだと私は口火を切りました。

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逆襲開始!

「へぇ……名字はタナカさん。あなた、どこの所属? 交番はどこ?」

突然詰問を始めた私に驚いた様子の彼。「そんなこと関係ないだろ」とつっけんどんでしたが、「いいから教えなさい!」と私が声を荒らげると、その剣幕に圧倒されて、しぶしぶ交番名を明かしました。

「ふーん。じゃあ上官はオオタさんね」

タナカは今度こそ仰天。そりゃあ、イチャモンを付けて罰金を強要した初対面の相手が直属の上司の名前を知っていたら驚くでしょう。私はさらに、胸元からある物を取り出して見せてやりました。

たちまちしどろもどろになるタナカ。それは私の警察手帳だったのです。

「私の父も、同じく現役の警察官です」