ドーヴィルに思いをはせて 「シャネル」のコレクション

ガブリエル・シャネルの原点ともいえる、海辺の高級リゾート、ドーヴィル。クロード・ルルーシュ監督の映画「男と女」の舞台ともなった場所。その遊歩道を再現したランウェーで披露されたのは、1920年代と70年代が交差するスタイルだ。2024年秋冬パリ・ファッションウィークより現地リポート!

「ドーヴィルはメゾンにとって、すべてが始まった場所です」と、アーティスティックディレクターのヴィルジニー・ヴィアールはコレクションノートに記している。1912年、ガブリエル・シャネルが帽子店を開いた場所だ。ショー会場の巨大なスクリーンには、ドーヴィルの遊歩道が映し出された。

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ショーの冒頭、モノクロの短編映画を上映。ドーヴィルが舞台となったクロード・ルルーシュ監督の「男と女」へのオマージュのように、ペネロペ・クルスとブラッド・ピットが恋人役で登場するというちょっとしたサプライズとなった。

まず目に留まったのは、つば広の帽子だ。長いシルエットと相まってロマンチックな雰囲気に。海辺の街をイメージしながらの秋冬物らしく、ピーコートやロングコートなど、ボリューム感と温かみのあるものになっている。

ピンクやモーブ、オレンジ、ペールブルーなどのパステル調のカラーは、絶え間なく変化するドーヴィルの空の色に由来するのだという。35ミリフィルムと映画のチケット柄のプリントは、映画「男と女」とも結びついている。すべてが、シャネルを運命づけた場所ドーヴィルに捧げるものとなっているのだ。

text: 宮智 泉(マリ・クレールデジタル編集長)

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