学校教育の違い

学校教育においても、文具とのかかわり方の違いが見えてきます。
三谷さんによると、ニュージーランドの小学校では「BYOD」と呼ばれるデジタル教育が進んでいるようです。「Bring Your Own Device」の頭文字をとったこの教育は、小学生でもノートパソコンやタブレットなどのデジタルデバイスを学校に持参して、学習に役立てるのだそうです。

宿題に目を向けても、日本語のように漢字をたくさん覚える必要がないため、国語の宿題は例えばエッセイ(作文)など。それもデジタルデバイスで書くことが多く、ノートやペンを使う頻度が日本の児童生徒よりも少ないと言えそうです。

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きれいに文字を書くのはアジア文化?

ニュージーランドには、欧米やポリネシア系の人をはじめ、アジア、中南米など、さまざまな国籍やルーツを持つ人が暮らしています。こうした人種のるつぼだからこそ、見えてくる文化の違いがあるそうです。

三谷さんは、オンラインショップを展開していた中で気づいた文化の違いについて、こう話します。
「オンラインショップでは顔が見えないので名前から推測するしかないのですが、中国や韓国などアジア系の名前の人は日本ブランドの筆記具を多く購入していた印象です。一方欧米系の方は、画材を中心に購入していたと思います」。

日本や中国に書道があるように、東アジア圏には「きれいに文字を書く」といった姿勢が根付いているようです。こうしたことから、文字をきれいに書くためのツールが多く生み出され、東アジア圏の多くの人に多く求められるのかもしれません。

日本語ではひらがなカタカナに加え約2,000もの常用漢字を使う一方で、英語で使われるのはアルファベット26文字。三谷さんは「こうした言語の違いからも、ニュージーランドではきれいに書くためのペンやノートは、画材と違ってそう多くは必要とされていないのでは」と話します。

前述したように、ニュージーランド国内にはこだわりを持って文具を使う人も一定数いるため、そうした人々には日本発のハイクオリティな文具は、高いお金を払ってでも手に入れたい対象として映るのかもしれません。