バレンシアガの新旗艦店が銀座に。オープニングを飾るアーカイブ展覧会の中身

「バレンシアガ」が、新しく建て替えられたTORAYA Ginza Buildingに、東京・銀座においては初となる旗艦店をオープン! ここでしか手に入らない限定アイテムや、3日間限定で公開されるアーカイブの展覧会「Dresses Beyond Time」の中身をお届けする。

漆黒の茶碗などの限定品も。「バレンシアガ 銀座」の中身

「バレンシアガ 銀座」は、ブランドが2021年から継続して世界的に展開しているコンセプトRaw Architectureに基づくデザイン。まるで途中過程のような、表面的には意図的に洗練された印象を与えないような建築を指し、未加工原料が主に使われる。サステナビリティーにも力を入れるブランドらしいオリジナルの空間を実現するものでもある。

内側から眺めると駐車場の構造にも似たファサードは、すべてのフロアが一体化しているように解体されたガラスパネルでデザイン。サイネージが二つ掲げられているのもユニークで、一つは入り口の真上に、もう一つは中央階に吊り下げられ、通りに面した眺望からでも目立つようになっている。内装は削り取られた石とモルタルによる無骨な印象。床には偶発的にこぼれ落ちたようになめらかな楕円を描く樹脂が流し込まれていたり、金属板で覆ったりするなど、リズムを持たせている。


Courtesy of Balenciaga

店内には限定品として「バレンシアガ 銀座」シリーズと呼ばれる、グラフィックTシャツやパーカ、Triple S スニーカーなどが並ぶほか、復活したばかりの、「ル シティ」の先行販売色もお目見え。さらに、珍しいのは日本の伝統工芸へのリスペクトから生まれた漆黒の陶器だ。現代陶芸と古陶磁の専門店「銀座 黒田陶苑」の監修により、特別にデザインされた茶碗と花瓶がつくられ、いずれも木箱に入り風呂敷代わりに「バレンシアガ」の生地で包まれたスペシャルピースとなる。

Courtesy of Balenciaga

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クリストバル・バレンシアガのアーカイブが上陸、3日間限りの展覧会

また、オープンにあたり2、3階には創業者クリストバル・バレンシアガのアーカイブ作品が上陸し、「Dresses Beyond Time」と題した展覧会をオープン日の27日から29日までの3日間の限定で行う。

「バレンシアガ」では、ダメージを受けやすいアーカイブを的確に管理するため、2001年に専門のアーカイブ・ヘリテージ部門を設立。クリストバルの作品の保存と収集に関する方針を定め、900点以上のコレクションを保存している。その中から「Dresses Beyond Time」では、美術館のセレクションからは埋もれてしまいがちな衣服にスポットライトを当て、13点のコレクションが公開されている。


Courtesy of Balenciaga

例えば数あるドレスの中でも、シルクガザールのチューリップドレスは彼の生み出す造形的なフォルムの美しさを最も目の当たりにできる作品だろう。アメリカの社交界の名士として知られたアン・モーエン・ブリットのために作られたという、未完成のままで保管されたシャンタンシルクのジャケットとドレスのアンサンブルは現代でもモダンな印象に映る。

また繊細なクチュールの技術を感じさせる、イブニングボレロは茶色のチュールにストレート型のガラスチューブを刺しゅうしたもの。壊れやすく扱いが難しい作品の一つで、この作品の他にも同じく繊細なピースはシルクペーパーで作られたベッドに安置するように展示されている。そのユニークな展示方法はもちろん、1940〜60年代に発表され今日まで大事に受け継がれてきた衣服を前に、アーティスティック・ディレクターのデムナがそれらと対話し、クリエイションへと生かしてきた軌跡をも垣間見ることができるようだ。オープンから3日間だけ、店舗をアートスペースとして解放する貴重な機会に、ぜひ足を運んでみてほしい。

text: Mio Koumura

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