ものの美しさや心地よさに、直感的に触れること。〈visvim〉クリエイティブディレクターの中村ヒロキさんと、ウィメンズライン〈WMV〉のデザイナーの中村ケルシーさんが、日々の暮らしで大切にしているエッセンスだ。&Premium149号(2026年3月号)「これからの、スタンダード」より、日々、世界中を飛び回る二人の日本での住まいを訪ねて、暮らしを豊かにする定番について話を聞きました。




自分のフィーリングを大切に、ものを選ぶこと。
ものづくりは「選択の集積」だと、中村ヒロキさんは話す。デザイン、ディテール、色、風合い、製法。常日頃、そうした事柄に深く向き合い続けている。
「自分たちは、ものを感じるのが仕事。ものを見るときには、何よりも心が反応するかどうかを大事にします」。ケルシーさんが続ける。「ヒロキと私は、ふだんの生活や旅で同じものや景色を見て共有しているものが多いから、美しいと感じるもの、ソウルやエネルギーを感じられる対象は、とても近いものがあるかもしれない。私はヒロキと出かける小さな旅を愛していて、そのときによく骨董市巡りをします。インスピレーションを得る大切な場であり、新しい学びを得られる場でもあって。私が心惹かれたものについて彼に伝えると『ああ、僕もすごくいいと思った』と嬉しい反応がある。そんなふうに、自然に同じ感覚を共有しているんです」
「心に響き合うもの」。それが、いわば、二人の日常のスタンダードなのだろう。暮らしを便利にするものは、多くない。もののプロフィール的な事柄はさておき、自分たちの心を豊かにしてくれるかどうか。それが何よりも大事な観点だ。住まいには、古いものが多いが、意識して古いものを選んでいるわけではない。ヒロキさんは言う。「先入観を排除し、見て、触れて、何を感じるか。なぜそれを良いと思ったかは、後から考える。純粋にものと向き合う時間はすごくエネルギーがいるので正直、疲れます(笑)。でも、その時間に自分のアンテナを磨くことができるんです」
LIVING 暮らしを育むもの。






