◆中東投資をかなり強化したが…
GUCCIなど多くのラグジュアリーは中国のマイナス分を補うべく、ドバイやサウジなど中東の新興市場を「ポスト中国」ターゲットにしていきました。LVMHやKeringもここ数年で中東投資はかなり強化しています。しかしながら、昨今の中東情勢があり政局不安定に。先行き不透明となり追い討ちがかかっている状況です。ドバイなどは平静・安全を装っていますが、観光資源が重要な収入源である国にとって治安の悪化・情勢不安を正しく報道するかどうかはいささか疑問です。実際に現地にでも行かなければわからない部分も多いでしょう。
つまり下降トレンドの欧州などを補うために中国投資を進めたものの予想以上の経済減退と、さらに新新興市場として目論んでいた中東も不安定になってきて、八方塞がりになっている状態なのです。
◆2つ目の理由はデザイナー交代劇

ラグジュアリーがまるで「席替え」のようにデザイナーを大幅刷新したのは昨年あたりの話。セリーヌ、ジルサンダー、バレンシアガ、グッチ、ディオール、ロエベ……と枚挙に暇がないほど。ラグジュアリー全体が厳しい中、こうした「席替え」で顧客の印象を変える効果があったのか定かではありませんが……GUCCIは「成功」とは言えないようです。
そもそもGUCCIの既存顧客が支持していたのは「色気・装飾・イタリア的官能性」です。GUCCIを再生させたデザイナーとして知られるトム・フォードはまさに色気の王者。GUCCIはここ20年「官能性」の権威として君臨していた。光沢のあるスーツや煌びやかな素材色使いがGUCCIらしさとして捉える人も多いでしょう。
ところがGUCCIは売上が下降トレンドとなり、デザイナー刷新を考え、新しくトップに迎えたのは何を血迷ったかイタリア的色気や官能性、ラグジュアリーとはまったく無縁な哲学的デザイナーだったのです。

