◆ブランドとデザイナーの文脈はズレているようにしか見えない
現デザイナーであるデムナはベルギーが誇る哲学的デザイナーの象徴、マルタン・マルジェラを師匠に持つ。反モード・反ラグジュアリーを標榜しストリートファッションをラグジュアリーに押し上げた立役者です。彼の今までの思想はGUCCIが持つ美しい官能性とは真逆である「醜いものに価値を持たせる」手法。ポテトチップスの袋にしか見えないバッグや、IKEAバッグをレザーで作ったり、ガムテープにしか見えないバングルを作り、ボロボロのクラッシュ加工をした薄汚い服をランウェイで披露したのがデムナです。
これらは「アグリー(醜い)ファッション」と称され、今まで敬遠されていたストリートファッションをラグジュアリーの世界で再評価・再構成に成功しました。実験的かつ哲学的なプロダクトがデムナの持ち味です。時代を変えた素晴らしいデザイナーではありますが、クラシックかつ官能美を持つGUCCIにどうしてアグリーなデムナが合うのか。今の所ブランドとデザイナーの文脈はズレているようにしか見えません。
◆稀代の天才デザイナーの起用性は話題性十分だが…

稀代の天才デザイナーがGUCCIにということで話題性は十分ありましたが、実際プロダクトもGG柄を打ち出したものが多く今の所マーケットを読みきれていないとしか……。古い顧客を意識したクラシックなアイテムと新しい顧客を意識したストリートラグジュアリーとが混在し、結果両方を逃しているようにも思えます。

