立ちはだかった「デジタル」と「老眼」の壁
滞在先が決まり、いざ準備を始めようとしたトメさんですが、今どきの旅ならではの壁に直面しました。飛行機や電車の予約はもちろん、イギリス入国に必要なETA(電子渡航認証)やロンドンのホテル手配まで、手続きのほとんどがオンラインだったのです。
「実はあんまりネットが得意じゃなくて。スマホの文字が小さく見えづらいので、老眼と戦いながらでした(笑)」
旅慣れた友人たちの力も借りながら、一つ一つ画面とにらめっこして手続きを進めていくトメさん。悪戦苦闘した結果、思わぬ収穫があったそう。
「自分で何とかやってみたことで、少しだけデジタルへの苦手意識が減ってきたんです。インスタに載せる動画にテキストを入れられるようになったり。イラストもそれまで紙に描いてスキャンしていたのが、直接タブレットに描いてアップできるようになったり。デジタルスキルがアップデートできたのはうれしい副産物でした」
「暮らすように旅する」ための長期滞在の準備

1か月半も自宅を空けるのは、トメさんにとっても初めての経験。出発前は、本一冊分の原稿をすべて描き上げるという、ハードなスケジュールをこなしつつ、長旅の準備をしていきました。
「『1か月半でシャンプーとリンスはどのくらい使うんだろう?』とか、『お米や調味料も持って行った方がいいよね』とか、あれこれ頭を悩ませたりして。忙しい中での荷造りは結構大変でした」
日用品に加えて欠かせないのが、常備薬の準備です。実はトメさん、58歳の頃に激しいめまいで起き上がれなくなるほどの「メニエール病」を発症していました。さらにその前には、「喘息」にも悩まされていたため、体調に全く不安がないわけではありません。
「ただ、一番大事なのは、何とかなるだろうという楽観性かなと(笑)。もし現地で体調を崩しても、無理せずおとなしく過ごしていれば良くなるはず。体調不良を怖がっているとどこにも行けなくなってしまうので、薬など万全の準備をしつつ、あとは流れに身を任せることにしました」

