◆■数字で語る「急いでも変わらない」という真実
今回のエピソードで細川さんは、前方の軽自動車を「ノロノロ走っている」と感じ、車間を詰めたりハイビームで威嚇したりといった行動に及びました。しかし、制限速度というルールに照らせば、正しかったのはどちらだったのでしょうか。①「お仕置き」が招く一発免許取り消し
たとえ前の車が制限速度以下で走っていたとしても、それを「邪魔だ」と判断して車間を詰めたり、威嚇のためにライトをアッパーにしたりすれば、その瞬間に「妨害運転罪(あおり運転)」の対象となります。
あおり運転と認定されれば、これまでの違反歴に関係なく、即座に「免許取り消し」という極めて重い処分が待っています。さらに、再び免許を取れるようになるまでには最低でも2年以上の欠格期間が必要です。一時のイライラの代償としては、あまりに大きすぎると言わざるを得ません(出典:警察庁「あおり運転(妨害運転)の対象となる事案」参照)。
② 焦っても到着時間は「わずか数分」の差
警察や交通安全団体の啓発によれば、5kmの道のりを走る際、時速40kmから50kmに上げたとしても、計算上の短縮時間はわずか1分30秒。さらに信号待ちや渋滞を挟めば、その差はほぼゼロになるといいます。
無理に速度を上げても、結局は次の赤信号で追いついてしまう程度の差。そのわずかな時間と引き換えに、これまで築き上げてきた教師としての信頼や、免許という日常の自由を懸ける価値はあるのでしょうか。細川さんは最終的にアメ車を降りて軽自動車に乗り換えましたが、皆さんはこの選択をどう感じますか?
③ ハンドルを握る「自分」を客観視する
大きな車が放つ「強さ」を自分の実力だと錯覚してしまう「ドレス効果」は、誰にでも起こりうる心理現象です。だからこそ、ハンドルを握っている時に怒りが湧いたら、まずは深呼吸をして、今の自分の顔を大切な人に見せられるかどうか問いかけてみてください。
その一呼吸の余裕が、取り返しのつかない過ちから自分を守ってくれます。そんなささやかな自制心が、明日からの皆さんの日常のどこかに、そっと広がっていることを願っています。
<取材・文/八木正規 再構成/日刊SPA!編集部>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

