脳トレ四択クイズ | Merkystyle
オーナー社長、会社売却でホクホクのはずが…M&A契約時との〈価格落差〉に愕然。「価格調整条項・アーンアウト条項」にまつわるM&Aトラブル【M&A弁護士が解説】

オーナー社長、会社売却でホクホクのはずが…M&A契約時との〈価格落差〉に愕然。「価格調整条項・アーンアウト条項」にまつわるM&Aトラブル【M&A弁護士が解説】

アーンアウト条項を巡る実務上の紛争事例

ある中小企業のM&Aでは、株式譲渡契約において、一定期間の営業利益の達成を条件として追加対価を支払うアーンアウト条項が設けられていました。M&A契約締結時点では、対象会社は安定した収益を計上しており、売主としては当該条件は十分に達成可能であると認識していました。

しかし、M&A後、買主は経営方針の見直しを行い、新規事業への投資やコスト構造の変更を実施しました。その結果、短期的には営業利益が低下し、アーンアウト条件を満たさない状況となりました。

売主は、買主の経営判断により意図的に利益水準が引き下げられ、アーンアウト対価の支払いを回避されたとして、契約違反を主張しました。一方、買主は、当該施策は企業価値の向上を目的とした合理的な経営判断であり、アーンアウト条件の達成を保証する義務は負っていないと反論しました。

当事者間では、アーンアウト条項の解釈、買主の経営裁量の範囲、利益減少と経営判断との因果関係などが争点となりました。最終的には、契約文言および経営判断の合理性を踏まえ、追加対価の一部のみが認められる形で解決することとなりました。

このように、アーンアウト条項は合理的な価格調整手段として機能する一方で、その前提となる経営判断や業績評価の方法が明確でない場合、M&Aトラブルの原因となることがあります。

まとめ

価格調整条項やアーンアウト条項は、売主と買主の企業価値評価の差異を調整するための実務上の手段として広く利用されています。しかし、これらの条項は、将来の財務数値や経営状況を前提とするため、契約解釈や会計処理を巡るM&Aトラブルが生じやすい側面があります。

特に中小企業のM&Aでは、会計処理の一貫性や財務情報の整備状況にばらつきがあることから、価格調整条項やアーンアウト条項の適用を巡るM&Aトラブルが生じることがあります。M&A価格の最終的な確定方法や算定基準を契約段階で整理しておくことが、実務上は重要となります。

また、M&A対価の後払いとなる部分については、株式譲渡益課税とならない可能性もあり、価格調整条項やアーンアウト条項の適用には各種の留意が必要と思われます。

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士
土屋 勝裕

提供元

あなたにおすすめ