「会費8万円で役員報酬4万円」…見せかけの安さに隠されたカラクリ
もっとも、Bさんの実際の収支を冷静に見ると、別の姿が見えてきます。
Bさんは毎月、一般社団法人に会費8万円を支払い、一方で役員報酬4万円を受け取るに過ぎません。ここに本人負担の社会保険料1万1,378.3円を加えると、毎月の実質負担は5万1,378.3円、年額では約61万6,540円になります。
つまり、国保と妻の国民年金をそのまま負担するより軽く見える一方で、「会費を払い、報酬を受け、そのうえで最低等級の社会保険に入る」という、歪な構造のうえに成り立つ話でもあったのです。
「資格取り消しになる?」踏みとどまらせた社労士の警告
Bさんからこの話を聞いたAさんも、一瞬は心が動きました。しかしAさんは、その場で飛びつかず、知り合いの社会保険労務士に相談します。
そこで示されたのが、平成15年6月30日の社会保険審査会裁決例でした。
判例では、形式的に資格取得の手続きを整えていても、実態として「その事業所に使用される者」といえなければ、被保険者資格が否認され得るとありました。
Aさんは「安く見えても、あとで資格が取り消されるのは怖い」と感じ、加入を見送りました。
