
◆「人生に物語がない」と自認する
インタビューのなかでSuzukaさんが放った言葉に印象的なものがある。「私には物語がなかったんです」。すべての行動が線で繋がらず、脈絡のない人生を生きてきた、という自認からくる言葉だ。確かに彼女の行動は予測がつかない。たとえば名門進学校を出たのち、国立大学へ進学すると、すぐに性風俗店で働き始め、大学の5年間を費やした。かと思えば大学に1年間余分に通ってでもアメリカ留学を敢行している。性風俗店勤務はそのための食い扶持だったのだろう。
「大学時代に読んだ書籍の著者に会いたくなって、アメリカに渡りました」
その言葉に聞き覚えがあった。Suzukaさんが進学先の大学を決めるときの指針だ。「高校時代に図書館で読んだ書籍の著者が教鞭を執っていたから」。きっかけで、彼女は軽やかに興味の惹かれるほうへ飛んでいく。大学在学中は性風俗店だけでなく、ブライダルカメラマンとしても勤務した。名門写真スタジオで修行し、一人前だと認められるまでに腕を上げた。
◆母校に頻繁に顔を出す同級生たち

「自分がやりたいことに熱中するタイプの子がとても多く、高校時代の昼休みはみんなで科学室にこもって実験しながらご飯食べたりしてて。それが大学に進学すると、同級生たちがお昼にさわやかにテニスしたりしてるわけですよ。全然馴染めなくて。それで母校に遊びに行ったりしていました。あるとき、担任の先生が『去年、遊びにきた卒業生の人数をカウントしたら、平均1日1人は来校していた』と教えてくれて(笑)。みんな大学で馴染めなくて母校に帰ってきちゃうんだなと」
結びつきは現在でも非常に強固だ。たとえばこんなエピソードも、名門私学校らしい。
「母校で数学の教員になった同級生と飲んでいるときに、『今何してるの?』みたいな話になって。当時はSMの女王様をやっていたので隠さず答えたんです。すると、『へぇ、面白いじゃん』と返され、『それでさ、このグラスの径と高さはどちらが長いと思う?』と何事もなかったような様子で次の話題に移りました」
Suzukaさんが中学受験を志したのは小学校6年生と遅い。地元公立小学校では休み時間に図書室で読書をしているのを「みんなと外で遊べ」と教員から咎められた。友人関係に不安はなかったが、「当時やや浮いている自覚があった」Suzukaさんは、同様に吹きこぼれた子たちが中学受験をすることに気づいて参戦することになったという。「私もそっちに行かないと死ぬと思って、1日10時間くらい勉強したら何とか届きました」と話す彼女は、母校での生活を振り返って「入学できてよかったと思う」と笑った。

