昔の建物の趣を残しながら、建て替えよりも費用を抑えられるのが古民家リフォームの魅力です。しかし、古民家は修繕に加えて断熱や耐震補強なども必要になるため、費用は1,500万〜2,000万円ほどかかるケースがほとんど。
予算が1,000万円以内だと、可能な工事が限られます。
そこで本記事では、1,000万円でできるリフォームの現実的な範囲と、古民家リフォームの一般的な費用目安、優先順位を解説します。
リフォーム計画を進める前に、可能なリフォーム内容を整理してみましょう。
2026年4月現在、ナフサ不足による建築資材の高騰・供給不足が発生しています。
掲載の費用相場は現状を反映していない可能性があり、実際の工事費が大幅に異なる場合や、工事自体が困難な場合があります。
実際の費用感は、必ず施工業者にご確認ください。
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1.1000万円でできる古民家のリフォームと一般的な費用相場
古民家のリフォームを考えたとき、まず気になるのが「1,000万円でどこまで工事できるのか」という点ではないでしょうか。
まずは1,000万円でできるリフォームの現実的な範囲と、古民家リフォームの一般的な費用相場を確認していきましょう。
1-1.1000万円でできる古民家リフォームを専門家が解説
予算が限られている中での古民家リフォームについて、注文住宅やリフォームに多く携わり、古民家リフォームも数多く手がけた経験のある「あなぶき・きなりの家株式会社」の谷口さんに詳しいお話を伺いました。
古民家は内装や外装だけでなく、構造部分まで劣化している可能性が高いため、まず優先すべきは「安全性を高めるための工事」です。
具体的には、次のようなリフォームを優先して行うことになります。
耐震補強(基礎・構造の補強)
屋根、外壁の修繕や交換(雨漏り対策)
構造部分の劣化対策
古民家リフォームでは、これら3つの工事で1,000万円に達してしまうケースが多いため、修繕が中心になります。
あなぶき・きなりの家谷口さん
それぞれの費用目安を見てみましょう。
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 建物全体の耐震補強(古民家の場合) | 100万~300万円 |
| 筋かいによる壁の補強 | 5万~20万円/箇所 |
| 耐力面材による壁の補強 | 9万~15万円/箇所 |
| 柱への金物の設置 | 5万~20万円/箇所 |
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 屋根の重ね葺き(カバー工法) | 85万~180万円 |
| 屋根の葺き替え(全体の交換) | 90万~260万円 |
| 外壁の重ね張り(カバー工法) | 150万~220万円 |
| 外壁の張り替え | 200万~260万円 |
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| シロアリ駆除 | 10万~80万円 |
| 腐朽した構造材の補修 | 1万~5万円/箇所 |
| 基礎の補強 | 50万〜250万円 |
建物の状態にもよりますが、これらの工事だけで500万円以上かかるケースが多く、場合によっては1,000万円に達してしまうこともあります。
つまり、安全性を高める工事を行うだけで、予算の半分、あるいはそれ以上を充てることになるでしょう。
それぞれの工事の内容や優先順位については、次章で詳しく解説します。
1-2.古民家リフォームの相場は1,200万円~
前述のように予算が1,000万円の場合は、安全性を確保するための工事だけで予算に達してしまうケースが多くなります。
しかし古民家で快適に暮らすためには、断熱施工や内装・設備のリフォームも欠かせません。
では、古民家全体をリフォームする場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
30坪の住宅を目安に見てみましょう。
| 工事内容 | 費用目安(30坪) |
|---|---|
| ハーフスケルトン | 1,200万~1,800万円 |
| 内部スケルトン | 1,800万~2,800万円 |
| 内部スケルトン+断熱施工 | 2,200万~3,200万円 |
| 内外部スケルトン | 2,800万~3,800万円 |
古民家全体のリフォームは、「どこまで解体するか」によって費用が異なります。
それぞれの工事の特徴を見ていきましょう。
内装を中心に解体し、主要な構造部分は必要な範囲のみ手を加えるリフォームです。
費用を抑えつつも安全性をしっかりと高め、内装リフォームも行うことができます。
ただし、部分的な施工になるため、断熱性の向上には限界があります。
屋根や外壁は残し、内装部分だけを解体してつくり直す方法です
室内は新築に近い状態まで改善でき、断熱施工も行えば快適性も高められます。
ただしこの方法が選べるのは、外装の傷みが少なく活用可能な場合のみです。
内装に加え、屋根や外壁もすべて撤去し、主要構造部のみを残して再構築する方法です。
劣化した部分を根本から修繕できるため、安全性・快適性を大きく高めることができます。
ただし、費用は高額になりやすく、場合によっては建て替えと同等、またはそれ以上になる可能性があります。
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2.【図解】1000万円での古民家リノベの「優先順位マップ」
予算1,000万円の古民家リフォームでは、優先順位決めがとても重要です。
まずは安心して暮らせることを最優先にし、そのうえで予算バランスを見ながら快適性を高める工事を検討しましょう。

2-1.【最優先】命を守るリフォーム:目安500~700万円
古民家リフォームでもっとも優先すべきなのが、「建物の安全性」を高める工事です。
具体的には耐震補強や雨漏り対策、構造部分の劣化対策などを行います。
古民家は現行の耐震基準を満たしていないケースが多く、耐震補強は最優先の工事です。
基礎の補強に加え、柱・梁・壁の3点から見たバランス調整、筋かいや耐震金具などの追加を行い、建物全体の強度を高めます。
古民家は補修や補強箇所が多くなりやすいため、費用は100万〜300万円が目安です。
屋根や外壁の劣化を放置すると、雨水が建物内部に侵入し、柱や梁など構造部分の腐朽につながる恐れがあります。
とくに古民家では、瓦のズレや外壁のひび割れからすでに雨水が内部に侵入していることが多いため、雨漏り対策が不可欠です。
一般的な外装リフォームでは、既存の外壁や屋根材の上に新たな建材を重ねる「カバー工法」も選べますが、古民家リフォームでは建材ごとの交換をおすすめします。
構造部分の劣化対策古民家では、床下や壁の内部でシロアリ被害や木材の腐朽が進んでいるケースも多く、その場合は傷んだ木材の交換や補強、防蟻処理が必要になります。
また、鉄筋が入っていない無筋基礎や基礎自体がない建物では、基礎からのつくり直しが必要です。
基礎補強は高額になりやすい工事ですが、この部分を適切に整備しておかないと、災害時の危険性が高まるだけではなく、住宅の重みに耐えられず倒壊してしまう恐れもあります。
2-2.【優先】健康を守るリフォーム:目安200~500万円
安全性を確保するリフォームの次に優先したいのが、健康面を守るためのリフォームです。
断熱施工築50年を超える古民家では、断熱材が入っていないことが多く、家全体に断熱施工が必要になるケースも少なくありません。
断熱性が低い家は室内の温度差が大きいため、ヒートショックなど健康被害を引き起こすリスクが高まります。
そのため、床・壁・天井のそれぞれに断熱材を施工し、室内環境を整えることが重要です。
費用は30坪の住宅で、150万〜300万円が目安になります。
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窓の交換家全体の断熱施工が難しいときには、熱の出入りが大きい「窓」を優先して改善します。
費用目安は以下のとおりです。
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 部分的な内窓の設置 | ~20万円 |
| 複数箇所に内窓を設置 | 20万~40万円 |
| 家全体の窓を交換 | 40万円~ |
予算が厳しいときには、過ごす時間が長いリビングや居室の窓を優先して交換するなど、施工箇所を絞って施工するとよいでしょう。
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古民家の水まわりは、設備の劣化や冬の寒さ、動線の悪さといった問題を抱えていることが多く、快適性だけでなく安全性の面からも優先して改善したい部分です。
それぞれの費用目安を見てみましょう。
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| キッチン | 50万~150万円 |
| 浴室 | 100万~150万円 |
| トイレ | 20万~50万円 |
| 洗面脱衣室 | 20万~50万円 |
部分的な交換も可能ですが、まとめてリフォームすることで使い勝手や動線を大きく改善できます。
4点すべてを交換するときの目安は、150万〜300万円です。。
水まわり設備はグレードやオプションにこだわるほど高額になるので、予算1,000万円のリフォームではシンプルな仕様を選ぶことを心がけましょう。
2-3.【必要に応じて】好みをかなえるリフォーム:目安100~500万円
安全面と健康面の性能を高めたうえで予算が残ったら、暮らしの満足度を高めるリフォームを検討しましょう。
| 工事内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 間取り変更 | 20万円~ |
| バリアフリー工事 | 手すりの設置:3万~10万円/箇所 段差の解消:2万〜20万円/箇所 |
| 薪ストーブの設置 | 30万~60万円 |
| 造作家具の設置 | 収納:30万~ カウンター:10万~ |
間取りの変更や造作家具の設置を行えば、暮らしやすさが大きく向上し、リフォーム全体の満足度にも直結します。
しかし、これらの工事は優先順位としては後回しになるため、予算1,000万円ですべて行うのは難しいのが現実です。
まずは安心して住める状態を整えたうえで、無理のない範囲で取り入れましょう。

