脳トレ四択クイズ | Merkystyle
地震と海面上昇に揺れるバヌアツ――脆弱な経済を支えるタックスヘイブン税制の実像【国際税務の専門家が解説】

地震と海面上昇に揺れるバヌアツ――脆弱な経済を支えるタックスヘイブン税制の実像【国際税務の専門家が解説】

タックスヘイブンの機能を持つ「バヌアツ」

バヌアツの正式名称は「バヌアツ共和国」です。南太平洋のシェパード諸島に位置する火山島の共和制国家で、面積は新潟県とほぼ同じ、人口は約32万人(2023年現在)。1980年にイギリスから独立し、現在はイギリス連邦加盟国の一員です。この国もツバル同様に海面上昇の危険にさらされています。

さらに、2024年12月18日にはマグニチュード7.0の地震に見舞われ、大きな被害を受けました。これにより、地震と海面上昇という二重の脅威に直面することとなりました。

バヌアツの税制は以下の通りです。

●付加価値税 12.5%

●所得税 なし

●法人税 なし

また、バヌアツは税務執行共助条約※1を締結し、金融口座情報自動交換報告制度(AEOI※2)にも参加しています。オフショア銀行※3が7行あり、タックスヘイブンとしての機能も持っています。

※1 税務執行共助条約:各国間で税務に関する情報を共有・協力し、脱税や租税回避に対抗するための国際的な枠組み。OECDと欧州評議会によって共同で策定され、1988年に採択された。

※2 AEOI:各国の税務当局が非居住者の金融口座情報を自動的に交換する制度。租税回避や資産隠しの防止を目的としており、OECDが策定した共通報告基準に基づいて運用。

※3 オフショア銀行:法人や個人が本国以外の国や地域に設立した銀行または銀行口座のこと。主に非居住者向けに設立される銀行で、税制優遇や金融秘密保持が目的とされる。

かつて、イギリスの法律によって企業の財務内容を公表しなくてもよかったため、エリクソンやゼネラルモーターズが金融会社を設立していました。

現在もタックスヘイブンとされていますが、税務執行共助条約やAEOIに参加しているため、以前ほどの秘密保護は期待できない状況にあります。

出所:『富裕層が知っておきたい世界の税制【大洋州、アジア・中東、アメリカ編】』(ゴールドオンライン新書)より抜粋 [図表2]3つの国の税金の違い 出所:『富裕層が知っておきたい世界の税制【大洋州、アジア・中東、アメリカ編】』(ゴールドオンライン新書)より抜粋

※ 本記事は書籍の内容を抜粋・掲載したものであり、最新の法令・制度とは異なる場合があります。実務にあたっては必ず最新の情報をご確認ください。

矢内 一好
国際課税研究所 首席研究員

あなたにおすすめ