追徴課税がほかの相続人に及ぶことに
また、ほかの相続人の申告漏れによって共同相続人にも追徴課税が及ぶことがあります(相続税法第34条)。相続税の課税価格と税額の計算は、次のようなステップになっています。
①納税者ごとの課税価格を計算
②各々の課税価格を合計して相続税の総額を計算
③各納税者間に分配して納税者ごとに納付すべき税額を計算
たとえば相続人Aは当初4億円の課税価格でしたが、税務調査で3億円の課税漏れが指摘されたとします。相続人Bは当初の1億円の課税価格であっても、税務調査によって相続人Aの課税漏れが発見されれば、相続税の総額は増加し、相続人Bの相続税も増加します。
仮に、相続税の総額が4億円になったとすると、相続人Aは3.5億円(4億円×7億円÷8億円)の相続税になり、相続人Bは0.5億円(4億円×1億円÷8億円)の相続税になります。相続税の総額は全員の課税価格を合計して計算します。
相続人Bが取得した相続財産は1億円のままで増加していないにもかかわらず、相続税が0.1億円(0.5億円-0.4億円)増加することになります。
また同様の仕組みによって各種特例による相続税の負担の軽減効果がほかの相続人におよぶ場合もあります。たとえば、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(居住用:80%軽減割合)を相続人Aが適用した場合、相続税の総額が減少しますので、相続人Bもその恩恵を受けることになります。
このように「法定相続分遺産取得課税体系」は、純粋な「遺産取得課税体系」でないために、本人だけではなく、ほかの相続人にも影響をおよぼすことになります。
※ 本記事は書籍の内容を抜粋・掲載したものであり、最新の法令・制度とは異なる場合があります。実務にあたっては必ず最新の情報をご確認ください。
八ツ尾 順一
税理士
