「いきなりプロポーズされても引くでしょ?」移住と結婚の意外な共通点
よく「移住は結婚に似ている」と例えられることがありますが、10年間移住支援に携わってきた小林さんも、この言葉に深くうなずきます。
ーー初対面の人からいきなり『結婚してください』って言われても引くじゃないですか。移住もそれと全く同じだと思うんですよ。
まずは「お友だちから」始める。現地に何度か足を運び、友だちができて、一人でも楽しく過ごせるようになる。「じゃあ、住んじゃおうかな」と思うのは、そのステップを踏んでからでいい。その関係性ができて初めて、移住パンフレットの言葉が心に刺さるのだと小林さんは語ります。
「お金(補助金など)をちらつかせて結婚しても、長続きしないですよね。移住はお金の契約じゃなくて、『愛』だろってずっと思ってます。笑」

「まずは来てもらうことを大事にする」というブレない信念は、鹿児島県の移住サイト運営や体験ツアー、コンシェルジュ制度など、さまざまな仕組みづくりへと繋がっていきました。仕組みより先に、まずは人と人の関係がある。その思いは、10年経った今も変わりません。
名刺交換だけじゃない。自ら「ギブ」することで見えてきた心地よい関係性
地域に溶け込む秘訣について、小林さんは奥さまからこんなふうに言われたことがあるそうです。
「まずは自分の何かをギブ(提供)しに行ってる。そうやって人と関わりをつくる人だよね」と。
たとえば、知り合いのイベントがあれば壁塗りを手伝いに行く。参加するにしても、ただのお客さんとしてではなく「何かを与える」関わり方をする。そうやって自分から動いていると、いざ自分が何かをやりたいと思った時に、自然と誰かが助けてくれる。
ーー名刺交換しただけでおしまいではなく、ちゃんと顔を出して、自分の時間をどこまで相手のために使えるかが重要なんだろうなって。
現在、小林さんの暮らしに「仕事とプライベートの境目」はほとんどありません。週末は家族で県内各地のイベントへ出かけ、日置市のイベントに顔を出した帰りに、南さつま市の観光案内所へ立ち寄って新しい構想を聞きに行ったり。

「境目が無いことはちょっとした最近の悩みでもあるんですけどね。でも、今はそれが楽しいからいいんです。」
仕事の延長であり、家族との大切な時間でもある。そのシームレスな生き方こそが、小林さんの日常です。

