◆「与えられる仕事」から「自ら創る仕事」へ
独立して会社を立ち上げ、本をつなぐプロジェクト「ツナグ図書館」を運営する現在のぶっくまさん。かつての「組織の歯車」としての働き方から完全に脱却している。SNSの総フォロワー数は18万人を超え、多くの書籍の帯に推薦文を寄せるなど、出版業界において独自の地位を築いた。現在もSEとして責任ある立場で仕事を継続してはいるが、活動の軸足は読書や発信へと移りつつある。「近い将来、エンジニア職からは完全に身を引く」という明確な決断も下されている。受動的な姿勢から一変し、自らがやりたいことを形にする「創り手」としての生き方を選んだのだ。
「今は仕事とプライベートの境界線がなくなった」と語る通り、読書も発信も、趣味であり仕事でもある幸福な循環の中にいる。主体的な活動を通じて、彼はようやく「自分を認めることができた」という。
日々のルーティンも徹底している。1日に最低1冊以上、時間にして2〜3時間は必ず本と向き合う。
彼の視線は、個人の成功を超えて業界全体の未来にも注がれている。書店が減少の一途をたどる現状を憂い、出版業界に新たな価値を提供したいという。
かつて一言も喋れなかった少年は、いま、18万人のフォロワーに自身の言葉を届ける存在となった。誰もが本に出会い、本から学ぶ機会を絶やさない社会を目指し、彼は今日も静かにページをめくり続ける。
<取材・文・撮影/中村和香>
【中村和香】
未経験の50代からキャリアをスタートしたフリーライター。SEO記事の執筆・校正をはじめ、人物インタビューや地域の取材記事などを手がける。読書で培った構成力を強みに生活者としての視点とビジネス目線を併せ持ち、読者に届く言葉を追求している。

