
1.時短勤務とは
時短勤務(短時間勤務)とは、育児または介護のために一日の所定労働時間を短縮できる制度です。「育児・介護休業法」に基づき、すべての事業主に短時間勤務制度の導入が義務付けられています。
従業員が時短制度の利用を希望した場合、事業主側がこれを拒んだり従業員を降格させたりなどの不利益を与えることは法律で禁じられています。
勤務時間は何時間になる?
時短勤務では一日の労働時間を原則5時間45分〜6時間に短縮することができます。また、介護が理由の場合には、週または月の所定労働時間、所定労働日数を短縮することも可能です。
時短勤務への変更例
- 変更前:9時〜18時勤務→変更後:9時〜16時勤務(いずれも休憩1時間)
- 変更前:平日週5日勤務→変更後:隔日勤務
対象者は?
男女問わず、パートナーが専業主婦(夫)であっても条件を満たせば時短勤務を利用できます。育児と介護では対象者、要件、利用可能な期間に若干の違いがあります。対象者の条件に該当すれば、正職員以外の契約職員、パート、アルバイトの人も時短勤務が可能です。
育児が理由の場合
| 対象者 |
|---|
| ・未就学児を養育していること ・短時間勤務期間に育児休業をしていないこと ・日雇い労働者でないこと ・一日の所定労働時間が6時間以下でないこと ・労使協定により適用除外とされていないこと | 対象外となる人 |
| ・雇用期間が1年未満 ・週の所定労働日数が2日以下 ・業務の性質上または勤務体制から、時短制度の適用が難しい業務に携わっている ・日雇い労働者 |
業務の性質や勤務体制から時短制度の適用ができない従業員であっても3歳に満たない子どもを育てている場合は、育児休業に準ずる措置を取ることが事業主に求められています。具体的には、フレックスタイム制度、時差出勤制度、事業所内保育施設などの利用です。
介護が理由の場合
| 対象者 |
|---|
| ・要介護状態*1にある家族*2を介護していること |
| 対象外となる人 |
| ・雇用期間が1年未満 ・週の所定労働日数が2日以下 ・日雇い労働者 |
*1……2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態
*2……事実婚を含む配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫
育児・介護に共通する注意点は、雇用期間が1年未満の人は対象外となることです。転職後、時短勤務をしたいと考えていても、入職後すぐ制度を利用できない可能性があります。もし、時短勤務を希望していたら入職直後でも時短勤務が相談可能な事業所を探すのがおすすめです。
時短勤務はいつまで利用可能?
現状、育児が理由の場合は、子どもが3歳の誕生日を迎える前日まで利用できますが、2024年5月に公布された改正育児・介護休業法で小学校就学前までの子を養育する労働者へと範囲が拡大されること、同対象者への働き方に関する意向確認の義務付けが示されました。また改正に際し事業主には、時短勤務や始業時刻の変更、テレワークなどの措置のうち2つ以上の制度を設けることも義務付けられています。
介護が理由の場合、人によって期間が異なるため取得上限は定められていません。育児・介護休業法では、対象家族1人につき制度の利用開始日から3年以上の期間で、2回以上に分けて時短勤務ができるよう定められています。つまり、1年間のみ時短勤務とすることも、3年以上にわたり複数回に分けて時短勤務にすることも可能です。事業主には個々の事情に合わせて柔軟に利用できる制度づくりが求められており、「3年未満」「1回のみ時短可能」などと制限することはできません。
tips|フレックスタイム制度とは
変形労働時間制のひとつで、月の総労働時間をあらかじめ決めたうえで、始業・終業時間、一日あたりの労働時間を自分で決めて働くことができる制度です。融通がきくため、育児や介護などと両立しやすいのが特徴です。
会社によって、すべての時間を自由に出退勤できるようにしている場合と(フレキシブルタイム)、必ず勤務しなければならないコアタイムを定めている場合があります。
2.給料の計算方法
基本給の計算方法
時短勤務を選ぶとフルタイムで働いていたときよりも給料が下がることが一般的です。時短勤務に切り替えた場合の基本給は以下の式で算出できます。
時短時の基本給 = 時短前の基本給(月額)× 月の合計実労働時間 ÷ 月の合計所定労働時間
◆時短勤務の給与例
時短前の基本給:20万円/月
実労働時間:時短勤務により6時間/日(126時間/月)
所定労働時間:8時間/日(月168時間)
所定勤務日数:21日
20万円 × 126時間 ÷ 168時間 = 15万円
上記のように、一日8時間勤務で基本給20万円支払われていた人が、時短勤務で1ヶ月(21日間)勤務した場合、基本給は15万円となります。
単純に勤務時間が25%少なくなるので、基本給も25%減と考えると簡単かもしれません。また、職場によっては上記より減給率が少なかったり、給料が変わらなかったりする場合もあります。就業規則には時短勤務になった際の計算および支払い方法・時期の記載が必要なため、勤務先の規定を確認してみましょう。
残業代は支払われる
時短勤務に切り替えると基本的に残業(時間外労働)が制限されるため、時間外手当が少なくなる人が多いです。しかし、所定の労働時間を超えた場合は残業代が支払われます。法定内残業*1であれば、通常の時給にもとづいて計算され、法定外残業*2をした場合は追加で25%の割増賃金が支払われます。
*1……労働基準法で定められた法定労働時間(一日8時間・週40時間)には収まっているものの、会社の所定労働時間を超えた部分の残業のこと
*2……法定労働時間(一日8時間・週40時間)を超えた部分の残業のこと
また、育児・介護などの事情がある従業員は事業主に「時間外労働の制限」を請求することもできます。この請求により事業主側は、1ヶ月につき24時間、1年につき150時間を超える時間外労働をさせてはなりません。
賞与(ボーナス)は減ることが多い
賞与は基本給をもとに算出されることが多いため、時短勤務をすると連動して下がることが一般的です。また、ボーナスの査定期間が育児・介護休業と重複した場合、復職後に支給されないこともあります。
育休後の社会保険料の減額が可能
健康保険や厚生年金などの社会保険料は育児休業前の給料をもとに算出されるため、時短勤務になってすぐに減額されるわけではありません。
時短に伴い給与は減っても社会保険料が据え置きのままだと収入が著しく下がったと感じる人もいることでしょう。そうした事態に陥らないよう、社会保険料の減額手続きを取ることができます。育児休業後に時短で復職した人のみが対象となる制度で、「育児休業終了時報酬月額変更届」を提出することで、時短勤務開始から3ヶ月の給与額を基準に社会保険料(健康保険・厚生年金)が算出されるようになります。
また、時短によって所得が減ると将来受け取る年金額まで減ってしまうのではないかと心配かもしれません。その場合「養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出することで、フルタイム時と同等の報酬を得ていると見なして年金額が計算されるため、将来的に受け取る年金額は変わりません。

