脳トレ四択クイズ | Merkystyle
ファッションとアートの関係は【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記④】

ファッションとアートの関係は【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記④】

エコール・ド・キュリオジテ

作家の原田マハさんとデザイナーの伊藤ハンスさんによるブランド。いつもアプローチからして独創的で、しかもどこかクラシックな雰囲気を残したパリらしさを感じさせてくれます。展示会の会場は、左岸にあるギャラリー。

タブレットで見せてもらったアンリ・マティスの娘、マルグリットの絵

今季のミューズとなったのは、「マルグリット」。フランスの画家、アンリ・マティスの娘です。原田さんにとってアンリ・マティスは特別な意味を持つ画家でもあり、幼いころから通ったという岡山県倉敷市の大原美術館とも縁の深い画家でもあります。小説『晴れの日の木馬たち』の中にも、倉敷紡績の創業者で大原美術館を作った大原孫三郎が、洋画家の小島虎次郎に頼んでフランスで名画を買い集め、それを一堂に集めた展覧会で、主人公の山中すてらがマティスの描いた娘の絵を初めて見る場面が出てきます。

マティスはマルグリットを目の中にいれても痛くないぐらいかわいがり、たくさんの絵を描いています。マルグリットの絵の多くはチョーカーをしたり襟の高い服を着ていたり。幼いころに気管支の手術をした影響だとのこと。そのことを原田さんから教えてもらいました。そういう視点で見たことがなかったので、ちょっとした発見でした。

ハンスさんは毎シーズン、原田さんが書いた短編小説などをもとに、ストーリーを服に溶け込ませていきます。布や縫製工場の選び方などにもとてもこだわりがあります。さりげなくヴィンテージのレースやボタンも使われていたりして。古くから残る技術を大事にし、しかもどこか人の温かさを感じさせます。色のきれいなコートも、マルグリットがこんなのを着てたかもしれないなどと思いを巡らせたりして(マルグリットは服もデザインしていたそうです)。ビーズの小花をあしらったチョーカーと細かなフリルのつけ襟も、繊細で美しかった。

服とアートとストーリーが共鳴して創りあげられるこのブランドには「スタイル」があります。着る人にはそれらを共有する楽しさがあり、服から絵の世界へとまた関心が広がっていく面白さもあるのです。

さらには、ハンスさんが作ってくれたおやつに感動! マティスの絵のついた皿に、私の好きなベリー類がちりばめられて、これ自体がひとつの作品になっていました。

ヨウジヤマモト

ヨウジヤマモトの会場はパリ市庁舎。いつ来ても、その豪華さと荘厳さに感動します。西洋的な豪華さの象徴ともいえる会場で見せるヨウジヤマモトは、西洋とは異なる美しさを表現してきました。

かつて山本耀司さんはインタビューの中で、「パリコレクションで新作を発表するに際してタブーにしてきたことがあります。そのひとつは日本のエキゾチシズム(異国趣味)を持ち込むこむことでした。僕にとって、日本のデザイナーが着物をパリに持っていくなんて一番恥ずかしいことだと思っていたのです」と語ったことがありました。

今回はクチュール的な雰囲気でもありながら、着物やげたなど日本的な要素が随所に盛り込まれていました。自身の中でエキゾチシズムはタブーから変化していったのでしょうか。

ショーの最中に流れてきた音楽で印象に残ったのが、耀司さんが歌う「昭和枯れすすき」。まさかパリ市庁舎で昭和歌謡を聴くとは。

フィナーレを飾る5着のドレスには、葛飾北斎の作品がプリントされていました。そういえば、招待状には、版画を刷るのに使うばれんが入っていました。「なんでばれん?」と思いましたが、そうだ、北斎は浮世絵師。その関連だったんですね、きっと。しかも、葛飾北斎の娘、葛飾応為(おうい)は当時数少ない女性浮世絵師だったことを思い出しました。耀司さんの娘、山本里美さんもこのところいつもショー会場におり、近年、ヨウジヤマモトのコレクションの中にも彼女の服が数点含まれています。

最後には、耀司さんが登場。招待客は毎回、この瞬間を楽しみにしていたのではないかと思うぐらいの大きな拍手を送ります。

text : Izumi Miyachi

・ショーの会場が多彩!【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記②】
・タイムレスな美しさを見た【マリ・クレールデジタル編集長のパリコレ日記③】

配信元: marie claire

あなたにおすすめ