
たまにしか行けない実家や、相続後そのままになっている空き家。気がかりなのは、建物の傷みだけではありません。庭に雑草が生い茂っていると、手入れが行き届いていない印象が強まり、人の気配がない家に見えて、空き巣や不法投棄、放火のターゲットになるリスクが増加する危険性があります。
見た目や近隣への影響に加えて、防犯面でも不安が増す空き家の雑草問題。だからこそ、頻繁に通えない家では、長く効果が続く資材を上手に取り入れながら管理の負担を減らす工夫が大切です。雑草放置のリスクと負担の少ない管理のコツをご紹介します。
空き家の雑草放置は誰にでも起こる問題

日本では、現在空き家そのものが増えています。総務省が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」によると、2023年時点の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を記録。特に「賃貸・売却用」や「二次的住宅」などを除いた、使用目的のない空き家が増加しています。実家を相続したり、1人暮らしの親が施設に入居するなど、誰にとっても、他人事ではない問題になりつつあります。
また、空き家の所在地と所有者の居住地の関係については、徒歩圏内35.6%、1時間以内35.6%、1~3時間15.7%、3時間超12.5%でした。つまり、所有者の約3割は、片道1時間超の場所に空き家を持っている計算になります。こうした居住地から離れた位置の空き家や、なかなか帰省ができない実家において、頭を悩ませる厄介ごとの1つが「雑草対策」。国土交通省も、空き家の問題は防災・防犯、衛生、景観などに及ぶとしており、問題例の中に「防犯性の低下」「犯罪の誘発」「雑草の繁茂」などを挙げています。
雑草の生えた空き家は防犯上も懸念事項
雑草が伸び放題の庭は「管理されていない家」に見えやすい

「割れ窓理論」という理論をご存じでしょうか。
「割れ窓理論」とは、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士により提唱されたもの。1枚の割れた窓ガラスを放置していると、「誰も管理していない」「ルールを守らなくてもよい」という心理が働いてほかの窓ガラスも割られ、次第にその建物全体が荒れ、いずれは街自体の治安が悪くなってしまう――という理論です。ニューヨーク市では「割れ窓理論」を実践し、小さなものであっても1つの無秩序を放置せず、対処することで社会の秩序を保てるという考えにより、大幅に犯罪を抑止したことで注目されました。もちろん、「割れ窓理論」ですべて説明できるというわけではありませんが、荒れた景観が防犯上マイナスに働く可能性は高く、実践運動が行われている自治体も多くあります。

雑草放置の具体的なリスク

こうした心理面だけでなく、雑草や庭木が茂りすぎると、死角が生まれて犯行が外から見えにくくなるという単純なリスクも。警察庁の「住まいの防犯対策」でも、見通しの確保が重要とされています。雑草が繁茂し人目に付きにくい状態では、不法侵入やゴミの不法投棄、空き巣などの被害にあう可能性が高まります。また、生い茂った雑草は「この家は誰も管理していない」「人が住んでいない」という不在のサインになり、不法侵入や放火などの犯罪を誘発する恐れもあります。
犯罪の発生場所になる恐れもある

警察庁による「令和7年の犯罪情勢」によると、窃盗犯の認知件数を発生場所ごとに見てみると、発生件数では商業施設や一戸建て住宅が多いものの、増加率においては「空き家」が急増しています。令和2年との比較では307.9%増加し、特に金属類が盗まれる被害が多くなっています。金属価格が高騰している昨今、こうした空き巣のターゲットとなる危険性はますます高まっているといえるでしょう。
