新年度が始まり、慌ただしく過ぎ去った4月や連休明けの5月は、心身の疲れがどっと出やすくなる時期です。なんとなくやる気が出ない、朝起きるのがつらいといった不調を感じ、今の仕事を続けていく自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、つらいと感じた時に、すぐに退職という選択肢だけを考えてしまうのは、少し早計かもしれません。今の状況を乗り越えるために、会社を辞めずに休んで回復を待つ「休職」という道もあります。今回は、休職中の生活を支える公的支援の「傷病手当金」を中心に、退職を決める前に知っておきたい制度とお金の話を解説します。
傷病手当金とはどんな制度か?
傷病手当金は、病気やケガのために仕事を休まなければならなくなった時に、本人や家族の生活を保障するために設けられた、健康保険の給付制度です。
多くの会社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)や各企業の健康保険組合では、一定の条件を満たせば支給を受けることができます。あまり知られていませんが、私たちが加入している健康保険は、病院での窓口負担を原則3割に抑えるだけでなく、こうした休業中の所得補償という重要な役割も担っています。
この制度の大きな特徴は、仕事以外の理由による病気やケガが対象となる点です。例えば、自宅でのケガや、近年増加しているメンタルヘルスの不調なども対象に含まれます。仕事が原因である負傷などが対象の労災保険(労働者災害補償保険)とは異なり、プライベートでの不調が理由でも、働くことができない状態であれば活用できる制度です。
傷病手当金を受けるための主な条件
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傷病手当金は申請が必要な制度のため、いくつかの手続きと条件があります。具体的には以下の4つの条件をすべて満たしている必要があります。
第一に、業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であることです。前述の通り、仕事中や通勤中のケガは労災保険の対象となるため、健康保険の傷病手当金は対象外となります。
第二に、仕事に就くことができない状態(労務不能)であることです。これは自己判断ではなく、医師が医学的に「今の状態では仕事ができない」と判断し、申請書の医師記入欄で証明する必要があります。
第三に、連続して3日間休み、4日目以降も休んでいることです。この最初の3日間を「待期期間」と呼びます。待期期間には土日や祝日、有給休暇を含めることができますが、この3日間に対しては傷病手当金は支給されません。
第四に、休業期間中に給与の支払いがないことです。ただし、給与が支払われていても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。