中国は「996」から「007」まで。長時間労働は日本だけではない
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近年、長時間労働の問題で大きな社会的注目を集めたのが、中国のテック業界です。「996」とは、朝9時から夜9時まで週6日働くことを指すスラングで、大手IT企業を中心にこれが事実上の標準勤務体系となっていました。さらに「007」、つまり深夜0時から深夜0時まで週7日という、ほぼ休みなしの働き方まで語られるようになりました。
中国国家統計局(NBS)の調査によると、2025年11月時点の週間平均労働時間は48.6時間に達しており、法定労働時間(週44時間)を全就業者平均で上回っています。「996」がどの程度の範囲で広まっているかを正確に示す統計はありませんが、平均値自体がすでに法定水準を超えている状況です。
こうした長時間労働の構造的な背景として、就職競争の激しさや成果主義的な評価制度が指摘されています。
またアメリカも、労働時間という点では決して短くありません。OECDの2023年データでは年間約1799時間で、ドイツの約1343時間やフランスの約1500時間を大きく上回っています。高所得国でありながら労働時間が長い構造は、数字にもはっきり表れています。
韓国も同様で、政府は2018年から段階的に週52時間上限を導入しました。ルールとしては前進ですが、職場の評価文化や昇進へのプレッシャーはそう簡単には変わらず、制度と実態のギャップは引き続き課題となっています。年間約1872時間(OECD 2023年)という数字は、以前と比べれば縮んできてはいるものの、主要国の中ではまだ高い水準にあります。
日本はどこへ向かう?2026年以降の労働基準法改正
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日本の労働時間はOECD平均を下回っているものの、欧米諸国と比較するとやはり長い、という立ち位置にあります。そんな中で日本では今、40年ぶりとも言われる労働基準法の大規模な見直しが議論されています。2026年3月時点で改正法案はまだ議論・検討段階であり、今後内容が変わる可能性もありますが、今回の見直しで特に注目されているのが「つながらない権利」です。
これは勤務時間外の業務連絡を断っても不利益を受けない権利で、フランスでは2016年にすでに法制化され、EU各国にも広がっています。
日本においては、現時点で「法律による義務化」の方向ではなく、企業が自主的にルールを作るよう促すガイドライン策定の方向で議論が続いています。
そのほかにも、勤務間インターバルの義務化(現状は努力義務)、週44時間特例の廃止、有給休暇賃金の算定方法の見直し、副業・兼業時の労働時間通算ルールの整理なども、国の審議会・研究会レベルで議論されています。
いずれも単に労働時間を削るというより、休める環境を制度として保障する方向への転換を意識した動きです。ただ、制度が整っても職場の文化や評価のあり方が変わらなければ実態はなかなか変わらない可能性もあります。