◆「受かったら絶対に買って帰る」と決めていたお弁当
地元・静岡にいるときは人前に出て注目されるのが本当に嫌いだった。中学時代は仲の良い友達とだけ遊び、なるべく目立たないように過ごしていた。
彼女は少し恥ずかしそうに笑った。
アイドルに興味を持ったのは、TikTokで見た元乃木坂46・山下美月の切り抜き動画がきっかけだった。「当時は自分がアイドルになれるとは思っていなかったです。そんなことを言う資格のないと思っていたから」。娘の背中を押したのは、母親だった。

オーディションには一人で行ったが、会場では「絶対受からない」とずっと震えていた。最終審査で合格と告げられても実感はなかったが、「受かったら絶対に買って帰る」と決めていた高級なお肉が入った弁当の味は今でも忘れていない。
◆泣きながら覚えたデビュー曲「青空について考える」
静岡から上京してからは夢に見た光景が広がっていた。だが、ダンス未経験の彼女にとってすぐに厳しい現実が襲ってきた。基礎練習でターンすらまともにできなかった。泣きながら覚えたデビュー曲「青空について考える」の振り入れ動画は、今もスマホに保存している。
そんな彼女にとって、セカンドシングル「卒業まで」以降の選抜制度導入は、さらなる試練になった。デビューから約半年。常に一緒に活動していたメンバーは「青空組」と「雲組」に分けられ、彼女は雲組に配属された。

雲組で支え合っていた須永心海や長谷川稀未も青空組に移動していった。「悲しいし、悔しいし、感情のコントロールが上手くできなかった時期もありました」。心が揺れる中で、うちに籠って現状を嘆いていても何も変わらないことに気づいたきっかけにもなった。


