AIに教わった「100話さない」“余韻”を残す知恵

「私ね、昔は完璧主義だったなあって思うんです」
やると決めたことは、とことんやる。思ったことは、きちんと伝える。人にも自分にも、どこか厳しかったといいます。けれど年齢を重ねるなかで、少しずつ考え方が変わっていきました。
「他郷阿部家のお客様と話していると、全部伝えたくて、つい喋りすぎちゃうんです。でも、あるとき“本当に伝わっているのかな”って思うようになって、軽い気持ちでAIに相談してみたの」
返ってきたのは、「100話すのを60で止めてみて。残りは『余韻』で」という言葉でした。
「まさかAIにそんなことを言われるなんて、と思ったけど(笑)、妙に納得してしまって。その人が感じる余白を残しておくほうがいいんだなって」
人の心を本当に動かすのは、“答え”そのものではなく、自分のなかに生まれた感情や感覚なのかもしれない。だから今は、“伝え切らない”ことも大事なんだと肝に銘じているといいます。
センスは磨ける。登美さんの「言葉のノート習慣」

登美さんには、長年続けている習慣があります。
それは、人との会話や本、映画などで心に残った言葉をノートに書き留めること。ページを開けば、そこにはびっしりと言葉が並んでいます。
「書き留めている言葉は、きっと誰の前にも現れているはず。でも、そのとき“素敵だな”と心に留めたかどうか。そこが違うんじゃないかなって思うんです」
登美さんは、「センスがある人、ない人」がいるとは思っていないといいます。
「センスとは感性のこと。センスがいいとか悪いとかではなく、どれだけ感じる心を敏感にしておけるかということです。
私の場合は、忘れたくない言葉を書き残すうちに、それが少しずつ自分の感性になっていった。琴線に触れる言葉が、だんだん“自分”になっていったと思います」

