運と縁を逃さない「敏感な心」の持ち方とは
「運や縁ってね、誰にでもあるんですよ」
ただ、その縁に気付くかどうかが大事なのだと登美さんは言います。
登美さんの“言葉のノート”には、徳川将軍家の剣術指南役を務めた柳生家に伝わる、有名な家訓が書き留められていました。
小才は縁に出会って縁に気付かず
中才は縁に気付いて縁を生かさず
大才は袖すり合った縁をも生かす
人はみんな縁に出会っている。でも、それに気付く人は少ない――。
「だからね、心が鈍くなったらだめなんですよ。縁や運は、敏感な心のところにやってくる。そのときに、いい悪いや損得を判断するんじゃなくて、自分の気持ちに素直に、そのまま感じる力を大事にしておかないとね」
好きばかりでは成り立たない。だから人生は面白い

「好きな生地ばかりを並べるより、そうでもない生地を合わせた方が、かえって引き立ったりするんです」
登美さんは、それを“パッチワークと同じ”だと言います。
「世の中も、自分の“好き”ばかりでは成り立たないもの。だからこそ面白いし、それを楽しめる自分でいたい」
登美さんが自ら暮らし、再生させた宿「他郷阿部家」にも、そうした感覚がそこかしこに生かされています。
他郷阿部家には今も世界中からお客様が訪れ、毎晩、お客様とともひとつの食卓を囲みます。
「そこでいただいた感動を、また次のお客様へ渡していくんです」
人も、言葉も、文化も、つながりながら巡っていく。そんな感覚が、登美さんの暮らしには自然に息づいていました。

暮らす宿「他郷阿部家」のご案内

築237年の武家屋敷を再生した空間で、旅人同士が同じ食卓を囲む「他郷阿部家」。 登美さんの暮らしの美がぎゅっと詰まった空間で、心を満たすリトリートステイをぜひ。
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取材・文=長倉志乃(HALMEK up編集部) 撮影=林 ひろし

