◆「当たり前」の中にある日本の凄さ
訪日旅行者には高価な日本食と共にコンビニ弁当も人気だと聞くが、スーパーの弁当に魅力を感じたデドさんの言葉を聞いていると、私たち日本人が気づきにくい「当たり前」の凄さが浮かび上がってくる。「インドネシアでもどこの国でも当たり前だけど、安い食べ物には安い理由がある。見た目が悪かったり、味がいまいちだったりと、値段と質は比例しているものだ。でも、日本のスーパーの弁当は安いのに味のクオリティが高い。配色にも気を配り、さまざまなおかずが彩りよく詰められていて見た目にも美しい。おまけに種類も多種多様にある。こんな国は日本だけだと思う」
確かに日本のスーパーの弁当コーナーには、彩り豊かな和風弁当から、寿司、パスタやピザ、さらに健康に留意した弁当、少量パックや惣菜のみのパックなど選択肢が豊富に用意されている。その上、それらが比較的安価で手に入る。私たちにとって見慣れたスーパーの弁当には、ただ食事を提供するのではなく、買い手のニーズを意識した味や献立に飽きのこない工夫が凝らされているのだ、と私自身この取材を通して改めて気付かされた。
日本で暮らす私たちにとっては「当たり前」のサービスでも、外国人の目には驚異的に映り感動を呼ぶのではないか?
たとえ安価でも手を抜かず創意工夫をする姿勢に、日本人の細やかさや美意識を感じる外国人はデドさんだけではないのだろう。私たちの持つ細やかさや美意識は、伝統工芸品や高級和食の中だけにあるのではない。スーパーの弁当やホテルの朝食の中にも息づいている。
そんな何気ない日常に日本の凄さがあるということをデドさんが教えてくれた。
<取材・文/くにさだ美彩子(海外書き人クラブ/バリ島在住ライター>
【くにさだ美彩子(海外書き人クラブ)】
東京で音楽活動を行うかたわらバリ芸能に出会い2018年から移住。現地の芸能家と共に寺院での奉納演奏などの活動を共にし研鑽を積み、自身の作品も創作する。これまでにファッション誌や地方紙でエッセイの連載を持つなど、ライターとしても人の「体温」が伝わる執筆活動を展開している。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

