◆外国人客とのやりとりで起きた“傘トラブル”

先日、派遣スタッフのAさんと一緒に勤務していたときのことだ。突然、激しい雨が降り出した。
こういう日は、コンビニではビニール傘がよく売れる。店としても、傘が売れるのはありがたい。すると、30歳前後の白人女性が来店し、英語で「折りたたみ傘はありますか?」と尋ねてきた。
筆者は別の客の対応をしていたため、Aさんが売り場を確認した。しかし見当たらなかったようで、
「今はビニール傘しかありません」
と伝えた。女性は少し不満そうな表情を見せながらも、800円ほどのビニール傘を購入して店を出ていった。
ところが、その直後に筆者が念のためバックヤードを確認すると、奥のほうから折りたたみ傘が2本見つかった。
「さっきの客に申し訳ないことをしたな」と思ったが、こういうことは現場では起こり得る。棚に出ていなければ、スタッフが在庫なしと判断してしまうこともある。
そのまま仕事を続けていると、なぜか先ほどの女性が再び店に入ってきた。そして売り場に並んだ折りたたみ傘に気づくなり、表情が一変した。
「さっきはないと言ったのに、なぜ今はあるの? 嘘をついたの?」
女性はかなり怒っていた。
こちらとしても、在庫確認が不十分だったのは事実だ。筆者は素直に謝ったうえで事情を説明した。これで済むかと思ったが、女性の怒りは収まらない。
「さっき買ったビニール傘を、折りたたみ傘と交換したい」
使用済みの傘の返品や交換は、通常であれば簡単には受けられない。ただ、今回は店側の案内にも落ち度がある。後で店長に報告すればいいと考え、筆者はこう返した。
「わかりました。ただ、折りたたみ傘のほうが金額が高いので、差額をいただく形になります」
すると女性は少し表情を明るくして、
「本当? よかった。ところで、折りたたみ傘はいくらなの?」
と聞いてきた。
◆「なんでそんな値段なの!」と言われても…
「3100円です」そう答えた瞬間、女性はまた怒り出した。
「そんなに高いの? なんでそんな値段なの!」
今度は値段への不満である。筆者が値段を決めているわけではない。いい加減にしてほしい、というのが本音だった。
「差額は……」
と計算しようとしたところ、女性は急に態度を変えた。
「わかった。折りたたみ傘はいらない。ビニール傘でいい。さようなら」
さっきまでの怒りはどこへ行ったのか。そう言うと、女性は店を出ていった。
外では、相変わらず激しい雨が降り続いていた。

