◆寝床や安宿に生息するトコジラミ
このほか、直接の危険がある害虫として、それなりの知名度を得ているのがトコジラミだ。こちらも名前どおり「床(とこ)」、つまり寝床の布団やマットレスの裏を縄張りにする虫であり、噛まれると強い痒みに苛まれる。一般家庭の寝室だけでなく、繁華街のビジネスホテル・カプセルホテル・ネット喫茶などにも発生するので、旅費節約のため安宿を探す時は衛生面の評価をよく事前確認しておこう。「旅行や出張で遠方に行った時に、宿泊先でトコジラミがトランクやスーツケースに飛び移って、それを帰宅時に持ち込んでしまう場合もあります。厄介なのは薬剤耐性がついていることで、ピレスロイド系の殺虫スプレーを使っても効かないどころか、逆に増えてしまう場合すらあります。この特性によって、韓国ではトコジラミの大発生が社会問題になりました」
ただし、トコジラミは習性的に湿気を強く嫌う。旅先で荷物をトコジラミにやられたくない場合は、ユニットバス内に荷物を置いておくのも有効だと平田さんは提案した。仕事で東京・名古屋・大阪など大都市圏を頻繁に行き来する人は、小耳に挟んでおいて損はない。
◆ヒアリは今後の温暖化による勢力増が懸念
平田さんによると、ここまで紹介した害虫による症状の度合いは、私達の健康状態やライフスタイルも大きく関わってくるという。スズメバチやマダニなどの被害を受けた時、最も危険に晒されるのは体の衰えた高齢者、反対に体の防御機構が完成していない幼児、そして普段から何らかの持病を抱えている人達だ。周囲の人はよく注意するとともに、自分自身が害虫に襲われても耐えられるよう、普段から健康的な生活を送ることが推奨される。「それに、害虫リスクには地球温暖化や気候変動、都市部の環境変化も絡んでいます。例えば大都市圏は人口や経済活動が多く、そのぶん多くのゴミも発生し、ゴミを餌にするネズミやカラスにくっつく形で、ダニやトコジラミといった虫が勢力を広げている側面もあるのです」
環境変化の影響を受ける代表例がヒアリだ。この南米産のアリは強い毒性から警戒されており、アメリカでは数人の死亡例も出ているほか、海運コンテナなどに潜伏して日本にも入り込んでいる。現在は港湾部での水際対策が功を奏し、国内での被害例や繁殖は報告されていない。しかし日本の気候が南米のように暑くなってしまうと、ヒアリが現在以上に勢力を増し、繁殖を始めてしまう恐れもある。
「現在は私達のような事業者やPCO協会(日本ペストコントロール協会)が、厚生労働省からの依頼でヒアリ対策をしていますが、温暖化が進むと日本への定着も時間の問題かもしれないですね。ヒートアイランド現象の抑止など、少しでも気温上昇を食い止める取り組みが求められます」
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<取材・文/デヤブロウ>
【デヤブロウ】
東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2〜3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草〜上野近辺、池袋周辺、中野〜高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw

