初心者におすすめの植物4:アゲラタム

青紫の小さな花がふんわりと集まって咲くアゲラタムも、1種類植えのハンギングにおすすめの植物です。アゲラタムも初夏から秋までと開花期が長く、次々に花を咲かせます。耐寒性は弱いので、一般的には一年草扱いですが、暖かな地域では翌年も開花することがあります。咲き進んでもふんわりした雰囲気が続きやすいため、ハンギングにすると見応えがあります。
アゲラタムの花は、細い糸のような花びらが集まった、やわらかなポンポン状。一つひとつの花は小さいですが、株いっぱいに咲くと、写真のようにハンギング全体が青紫の花で覆われ、丸い花のボールのような姿になります。

花色は青紫、紫、白、ピンク系などがありますが、庭で特に映えるのは青紫系。ピンクのバラや白花の宿根草が多い庭に加えると、甘くなりすぎず、涼しげな差し色になります。梅雨から初夏の庭では、青紫の花色が入るだけで、景色に少し透明感が生まれます。高温多湿に注意し、真夏は涼しい半日陰に置くと安心です。
初心者におすすめの植物5:リーフだけのハンギング

花だけでなく、リーフプランツだけで作るハンギングも庭におしゃれな雰囲気をもたらしてくれます。白いバラに合わせて選んだのは、ワインカラーと斑入り葉のヒポエステス。熱帯地域を原産とし、一般的には観葉植物として楽しまれる植物ですが、花が少なくなる真夏の庭でも活躍してくれます。
葉もののよさは、花がら摘みがいらず、観賞期間が長いこと。花のように咲き終わりを気にしなくてよいので、忙しい人にも向いています。

ピンクや白の斑入り葉は、花色とも相性がよく、庭にアクセントを加えてくれます。花のハンギングに比べて落ち着いた印象になるため、甘くなりすぎないのも魅力。
ただし、観葉植物は品種によって強い直射日光で葉焼けするものもあるので、夏は半日陰や明るい日陰で楽しむと安心です。ヒポエステスは、強い直射日光よりも、夏は明るい半日陰を好みます。寒さには弱いので、冬には室内に取りこみます。
1種類ハンギングを成功させる植物選びのコツ

1種類だけで見栄えよく作るには、植物選びが大切です。選びたいのは、次のような性質をもつ植物です。
- 観賞期間が3カ月以上。
上げ下ろしに力がいるハンギングは、しょっちゅう植え替えずに済むように、最低でも3カ月以上は見頃が続くものを選びましょう。上記に紹介した植物はどれも見頃が長いのが特徴です。 - こんもり育つこと。
上にも横にも広がり、丸い形になりやすい植物を選ぶと、ハンギングらしいシルエットが作れます。 - 花つきがよいこと。
1種類だけで見せるため、花数が多い植物のほうが華やかになります。 - 切り戻しで復活しやすいこと。
梅雨や夏に一度乱れても、切り戻して再び咲く植物なら長く楽しめます。 - 置き場所に合っていること。
日なた向きの植物を日陰に置くと花つきが悪くなり、日陰向きの植物を強い日差しに置くと傷みやすくなります。
初心者はまず、花色や雰囲気よりも、置き場所に合う植物を選ぶのが失敗しにくいポイントです。
1種類のハンギングの植え方

基本の植え方は、前回の記事で紹介した方法と同じです。
バスケットに用土を入れ、苗を側面や上部に配置しながら、全体が丸く育つように植え込みます。
1種類だけで作る場合は、難しい色合わせは不要です。ただし、苗の向きは意識します。中心だけでなく、側面にも花が出るように植えることで、上から見ても横から見ても美しい形になります。
植え込み直後は少しすき間があっても大丈夫。生育とともに株が広がり、自然にバスケットを覆っていきます。
詳しい植え込み手順は、こちらの記事で紹介しています。
奥行き30cmでも、ここまで華やか! ペチュニアのハンギングバスケットの作り方水やりは“乾きやすい”前提で考える

ハンギングで一番気をつけたいのは水やりです。
地植えに比べて土の量が限られ、風に当たりやすいため、思った以上に乾きます。
特に晴れて気温が上がる日、風の強い日、梅雨明け後は水切れに注意しましょう。
水を与えるときは、花にかけるのではなく、バスケットの奥にやさしい水流で土に染み渡らせ、底から水が流れ出るくらいまで与えます。
夏場は朝の水やりを基本にし、夕方にしおれていないか確認します。葉がぐったりしている、鉢が軽い、花がうつむいている場合は水切れのサインです。
梅雨時の管理は“蒸れさせない”こと
ハンギングは風通しがよいとはいえ、花や葉が密に茂ると、内側に湿気がこもることがあります。傷んだ花、黄ばんだ葉、茶色くなった葉は早めに取り除きましょう。
株の内側に枯れ葉が残っていると、そこから蒸れや病気につながることがあります。
花が咲き終わって姿が乱れてきたら、思い切って軽く切り戻すのもおすすめです。
一時的に花が少なくなりますが、株の風通しがよくなり、新しい芽が動きやすくなります。
庭で映える飾り方のコツ

1種類だけのハンギングを素敵に見せるには、飾る場所も大切です。おすすめは、背景に緑や壁面がある場所。ハンギングの丸い形がくっきり見え、写真映えもします。バラや宿根草の近くに置くなら、花色をどこかでリンクさせると自然です。
一方で、あえて反対色を使ってアクセントにする方法もあります。複数置く場合は、同じ植物、同じ色で繰り返すと失敗しにくくなります。写真のジプソフィラのように、同じ丸いハンギングが並ぶだけで、庭にリズムと統一感が生まれます。
小さな場所こそ、ハンギングが効く

ハンギングは、広い庭だけのものではありません。むしろ、小さな庭や玄関前、細いアプローチでこそ力を発揮します。
地面に植えるスペースが少なくても、ハンギングなら空間を立体的に使えます。
花壇の奥行きが浅い場所でも、スタンドを使って高さを出せば、花のボリュームを楽しめます。
1つ置くだけで、そこが小さなフォーカルポイントになります。玄関前ならお迎えの花に、庭の奥なら視線を誘うポイントに、通路沿いなら歩く楽しみに。
まずは1種類から。お気に入りの花を丸く咲かせて、庭に小さな“浮かぶ花景色”を作ってみませんか。
Credit 寄せ植え制作&アドバイス / 武島由美子
愛知県Anne’s Garden主宰。一般社団法人日本ハンギングバスケット協会理事。日本フラワーデザイナー協会(NFD)1級フラワーデザイナー。個人邸や店舗、ショーガーデンなどのガーデンプランニングや植栽管理のほか、コンテナガーデンスクールや日本ハンギングバスケット協会認定試験スクール、フラワーアレンジメントスクールなど複数の教室を主催。地植えの庭からコンテナ、ハンギング、フラワーアレンジメントまで、屋内外あらゆるシーンを花で彩る美しい暮らしを提案。
まとめ・写真 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
